難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(条文ベースの知識が問われる。)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
- 重要度:★★★☆☆(自己株式の扱いは制度理解として重要。)
問題文
取締役会設置会社における自己株式に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、本問における株式会社は、監査役会設置会社であり、また、種類株式発行会社ではなく、定款において自己株式に係る特段の定めはないものとする。
ア
株式会社は、その保有する自己株式について、議決権を有する。
イ
株式会社は、その保有する自己株式について、剰余金の配当をすることができる。
ウ
株式会社は、その保有する自己株式について、新株予約権の無償割当てをすることができる。
エ
株式会社は、その保有する自己株式を消却する場合、取締役会決議によって、消却する自己株式の数を定めなければならない。
出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:エ
株式会社は、その保有する自己株式を消却する場合、取締役会決議によって、消却する自己株式の数を定めなければならない。
解説
ア:×
自己株式には議決権が認められていない。会社が保有する自己株式は、議決権行使の対象外となる。記述は誤り。
イ:×
自己株式には配当をすることができない。会社が自己株式に対して剰余金の配当を行うことは制度上認められていない。記述は誤り。
ウ:×
自己株式に対して新株予約権の割当てを行うことはできない。新株予約権は株主に対して割り当てるものであり、自己株式は株主ではない。記述は誤り。
エ:〇
会社法上、自己株式の消却は取締役会決議によって行われ、その際に消却する株式の数を定める必要がある。正しい記述。
学習のポイント
- 自己株式には議決権・配当権・新株予約権の割当権は認められない。
- 自己株式の消却には取締役会決議が必要で、消却数の明示が求められる。
- 自己株式は会社が取得した株式であり、株主の権利行使対象外。
- 実務では、自己株式の取得・処分・消却は慎重な手続きが必要。