過去問解説(経営法務)_2020年(R2年) 第15問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(引用の要件を正確に理解しているかが問われる。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(著作物の適法利用に関する基本論点。)

問題文

著作権法上、著作権者の許諾を得ずに著作物を利用できる「著作物の引用」となり得る行為として、最も適切なものはどれか。


引用することができる著作物を翻訳して利用すること。
公表されていない著作物を利用すること。
複製の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により著作物の出所を明示しないで、著作物を複製すること。
報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲を超えて著作物を利用すること。

出典:中小企業診断協会|2020年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ア
引用することができる著作物を翻訳して利用すること。


解説

ア:〇
著作権法では、引用の目的上正当な範囲であれば、翻訳も引用の一形態として認められる。出所の明示や主従関係などの要件を満たせば、翻訳された引用も適法となる。正しい記述。

イ:×
公表されていない著作物は、著作権者の意思に反して利用することができない。引用の対象は原則として公表された著作物に限られる。記述は誤り。

ウ:×
引用においては、出所の明示が義務付けられており、合理的な方法であっても出所を示さない複製は適法な引用とは認められない。記述は誤り。

エ:×
引用は「正当な範囲内」での利用に限られる。報道・批評・研究などの目的があっても、範囲を超えた利用は著作権侵害となる。記述は誤り。


学習のポイント

  • 引用は、報道・批評・研究などの目的で、正当な範囲内であれば著作権者の許諾なく利用可能。
  • 引用の要件には、出所の明示、主従関係の明確化、公表された著作物であることなどが含まれる。
  • 翻訳された引用も、要件を満たせば適法とされる。
  • 公表されていない著作物や出所不明の複製は、引用の対象外となる。