過去問解説(経営法務)_2019年(R1年) 第2問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

会社法が定める株式会社の事業譲渡に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、反対株主の買取請求権に関する会社法第469条第1項第1号及び第2号については考慮しないものとする。


事業譲渡の対価は、金銭でなければならず、譲受会社の株式を用いることはできない。
事業譲渡をする会社の株主が、事業譲渡に反対する場合、その反対株主には株式買取請求権が認められている。
事業の全部を譲渡する場合には、譲渡会社の株主総会の特別決議によって承認を受ける必要があるが、事業の一部を譲渡する場合には、譲渡会社の株主総会の特別決議による承認が必要となることはない。
当該事業を構成する債務や契約上の地位を譲受人に移転する場合、個別にその債権者や契約相手方の同意を得る必要はない。

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:イ
事業譲渡をする会社の株主が、事業譲渡に反対する場合、その反対株主には株式買取請求権が認められている。


解説

ア:×
事業譲渡の対価は金銭に限られず、譲受会社の株式なども用いることができる。記述は誤り。

イ:〇
会社法では、事業譲渡に反対する株主に対して、株式買取請求権が認められている。これは株主保護のための制度であり、正しい記述。

ウ:×
事業の一部であっても、会社の重要な一部を譲渡する場合には、株主総会の特別決議が必要となることがある。記述は誤り。

エ:×
債務や契約上の地位の移転には、原則として債権者や契約相手方の同意が必要。事業譲渡によって当然に移転するわけではない。記述は誤り。


学習のポイント

  • 事業譲渡は、会社の重要な資産や事業を第三者に譲渡する行為であり、株主総会の承認が必要。
  • 反対株主には株式買取請求権が認められ、会社から株式を買い取ってもらうことができる。
  • 債務や契約の移転には、相手方の同意が必要であり、譲渡によって当然に移転するわけではない。
  • 対価は金銭に限らず、株式なども可能。