過去問解説(経営法務)_2019年(R1年) 第3問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★☆☆(頻出ではないが、学習価値が高い。)

問題文

会社法が定める会社の清算・特別清算に関する記述として、最も適切なものはどれか。


株主は、清算中の会社の残余財産が金銭以外の財産であるときは、当該会社に対し、当該残余財産に代えて金銭を交付することを請求することができる。
清算中の会社の機関設計は、清算開始前の機関設計が維持されるため、指名委員会等設置会社が清算手続に入った場合、指名委員会等の各委員会が設置される。
清算中の会社は裁判所の監督に属するため、清算人は、裁判所による提出命令がなくても、株主総会で承認を得た財産目録等を裁判所に提出しなければならない。
特別清算は、株式会社だけではなく、合同会社にも適用される。

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ア
株主は、清算中の会社の残余財産が金銭以外の財産であるときは、当該会社に対し、当該残余財産に代えて金銭を交付することを請求することができる。


解説

ア:〇
会社法では、清算中の会社が残余財産を金銭以外の財産で交付しようとする場合、株主はこれに代えて金銭での交付を請求することができる。株主保護の観点から認められている。正しい記述。

イ:×
清算手続に入ると、会社の機関設計は清算モードに移行し、指名委員会等の設置は維持されない。清算人が業務を執行するため、委員会は不要。記述は誤り。

ウ:×
清算中の会社は、通常は裁判所の監督に属さない。裁判所の監督があるのは「特別清算」の場合であり、通常の清算では裁判所への提出義務はない。記述は誤り。

エ:×
特別清算は株式会社にのみ適用される制度であり、合同会社には適用されない。記述は誤り。


学習のポイント

  • 清算中の会社は、残余財産の交付方法に関して株主の選択権がある。
  • 清算に入ると、通常の機関設計(取締役会・委員会等)は解体され、清算人が業務を執行する。
  • 特別清算は裁判所の監督下で行われるが、通常清算は裁判所関与なし。
  • 特別清算は株式会社に限定され、合同会社には適用されない。