過去問解説(経営法務)_2019年(R1年) 第7問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70〜90%。比較的易しい。)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)

問題文

下請代金支払遅延等防止法(以下「下請法」という。)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
なお、親事業者、下請事業者の範囲を定める取引当事者の資本金の要件は考慮しないものとする。


自社の社内研修をコンサルティング会社に委託することは、下請法の対象となる役務提供委託に該当する。
製造業者が、自社の工場で使用している工具の修理を自社で行っている場合に、その修理の一部を修理業者に委託することは、下請法の対象となる修理委託に該当する。
大規模小売業者が、自社のプライベート・ブランド商品の製造を食品加工業者に委託することは、下請法の対象となる製造委託に該当する。
放送事業者が、放送するテレビ番組の制作を番組制作業者に委託することは、下請法の対象となる情報成果物の作成委託に該当する。

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ア
自社の社内研修をコンサルティング会社に委託することは、下請法の対象となる役務提供委託に該当する。


解説

ア:×(不適切)
社内研修の委託は、一般的に「役務提供委託」に該当しない。下請法の対象となる役務提供委託は、親事業者の事業活動に直接関連する業務(例:システム開発、設計、加工など)である必要がある。社内研修は親事業者の事業活動の外縁にあるため、対象外となる。記述は不適切。

イ:〇
工具の修理委託は、親事業者の事業活動に関連する役務提供であり、下請法の対象となる修理委託に該当する。正しい記述。

ウ:〇
プライベートブランド商品の製造委託は、親事業者の事業活動に直接関係する製造委託であり、下請法の対象となる。正しい記述。

エ:〇
テレビ番組の制作委託は、放送事業者の事業活動に直接関係する情報成果物の作成委託であり、下請法の対象となる。正しい記述。


学習のポイント

  • 下請法は、親事業者による製造委託・修理委託・情報成果物作成委託・役務提供委託に適用される。
  • 対象となるのは、親事業者の事業活動に直接関連する委託である。
  • 社内研修や福利厚生など、事業活動に直接関係しない委託は対象外。
  • 資本金要件や業種分類によって適用範囲が変わるが、本問では考慮しない前提。