過去問解説(経営法務)_2019年(R1年) 第12問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(制度の趣旨と適用条件の理解が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(実務でも重要な出願タイミングの知識。)

問題文

以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、玩具メーカーのX株式会社の代表取締役甲氏との間で本年8月に行われたものである。会話の中の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。


あなた:「先月の業界誌で、御社の新製品が好評との記事を読みました。」

甲氏:「はい、6月に大規模展示施設の展示会で発表したのですが、おかげさまで、クリスマス商戦に向けて引き合いがたくさん来ています。」

あなた:「この製品、外観がとてもユニークですが、意匠登録出願はされましたか。」

甲氏:「実をいうと、こんなに売れるとは思っていなかったので、意匠登録出願に費用をかけなかったんです。こんなに好評なら、模倣品対策のため、発表前に出願しておけばよかったです。」

あなた:の規定を用いれば、意匠登録出願することができる場合がありますよ。」

甲氏:「本当ですか。どのくらいの期間認められているのでしょう。」

あなた:「今回の場合は、展示会に出品した日が起算日になると思いますが、その日から間です。」

甲氏:「よかった、まだ間に合いそうです。急いで特許事務所に相談してみます。」


〔解答群〕

A:国内優先権 B:6か月
A:国内優先権 B:1年
A:新規性喪失の例外 B:6か月
A:新規性喪失の例外 B:1年

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:エ
A:新規性喪失の例外
B:1年


解説

ア:×
国内優先権は、先の出願を基準に後の出願に優先権を認める制度であり、展示会などで公表された後の出願を救済する制度ではありません。文脈に合致しません。

イ:×
国内優先権制度は、出願間の優先関係を調整するものであり、公表による新規性喪失を防ぐ制度ではありません。展示会発表後の出願には適用されません。

ウ:×
新規性喪失の例外制度は、公表後でも一定期間内であれば出願可能とする制度ですが、保護される期間は1年です。6か月では短すぎます。

エ:〇
新規性喪失の例外制度は、展示会や発表などで公表された場合でも、1年以内であれば意匠登録出願が可能です。展示会発表日から起算して1年以内であれば、出願によって新規性を失ったとみなされません。


学習のポイント

  • 新規性喪失の例外制度は、公表後でも一定期間内に出願すれば新規性を維持できる。
  • 意匠法では、展示会・発表・出版などによる公表があっても、1年以内の出願で救済される。
  • 国内優先権制度は、先の出願を基準に後の出願に優先権を認める制度であり、文脈に注意。
  • 実務では、展示会出品日を起算日として出願期限を管理することが重要。