過去問解説(経営法務)_2019年(R1年) 第22問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★★☆(上場制度の構造理解と表の読解力が必要)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度)
  • 重要度:★★★★☆(IPO支援や証券市場理解に直結)

問題文

下表は、マザーズにおける上場審査の形式要件及び上場審査の内容をまとめた表の一部を抜粋したものである。空欄A~Dに入る数値及び語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。


(形式要件)

項目 マザーズ形式要件
株主数(上場時見込み) A 人以上(上場時までに500単位以上の公募を行うこと)
流通株式数(上場時見込み) 2,000単位以上
流通株式時価総額 5億円以上
流通株式数(比率) 上場株券等の25%以上
時価総額(上場時見込み) B 億円以上
事業継続年数 C 年前以前から取締役会を設置して継続的に事業活動をしていること

(上場審査の内容)

項目 内容
企業内容、リスク情報等の開示の適切性 企業内容、リスク情報等の開示を適切に行うことができる状況にあること
企業経営の健全性 事業を公正かつ忠実に遂行していること
企業のコーポレート・ガバナンス及び内部管理体制の有効性 コーポレート・ガバナンス及び内部管理体制が、企業の規模や成熟度等に応じて整備され、適切に機能していること
(記載省略)
その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項

〔解答群〕

  • ア A:100 B:10 C:3 D:企業の成長可能性
  • イ A:100 B:30 C:1 D:企業の存続性
  • ウ A:200 B:10 C:1 D:事業計画の合理性
  • エ A:200 B:30 C:3 D:企業の継続性および収益性

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ウ
A:200 B:10 C:1 D:事業計画の合理性


解説

ア:×
株主数100人は少なすぎる。マザーズの形式要件では、上場時に200人以上が求められる。C=3年も誤りである。

イ:×
B=30億円は過大である。マザーズでは時価総額10億円以上が基準である。C=1年は正しいが、D=企業の存続性は抽象的すぎて不適切である。

ウ:〇
株主数200人以上、時価総額10億円以上、事業継続年数1年以上、D=事業計画の合理性は、マザーズの審査基準に合致している。正しい選択肢である。

エ:×
B=30億円は誤り。C=3年も要件としては過剰である。D=企業の継続性および収益性は、審査項目の一部ではあるが、表記と一致しない。


学習のポイント

  • マザーズ上場には、株主数200人以上、流通株式2,000単位以上、時価総額10億円以上が求められる。
  • 事業継続年数は1年以上が基準であり、取締役会設置が要件となる。
  • 上場審査では、事業計画の合理性、情報開示の適正性、ガバナンス体制の有効性などが評価される。
  • 表の読解と制度の照合が求められる問題であり、実務知識と法制度の融合が重要である。