過去問解説(経営法務)_2023年(R5年) 第10問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(制度の横断理解が求められる)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度)
  • 重要度:★★★★☆(知的財産制度の基本構造として重要)

問題文

特許法及び実用新案法に関する記述として、最も適切なものはどれか。


国内優先権制度は、特許法と実用新案法のいずれにも規定されている。
出願公開制度は、特許法と実用新案法のいずれにも規定されている。
不実施の場合の通常実施権の設定の裁定制度は、特許法には規定されているが、実用新案法には規定されていない。
物を生産する方法は、特許法上の発明と、実用新案法上の考案のいずれにも該当する。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ア
国内優先権制度は、特許法と実用新案法のいずれにも規定されている。


解説

ア:〇
国内優先権制度は、先に出願した内容を後の出願に優先的に取り込むことができる制度であり、特許法と実用新案法の両方に規定されている。制度の趣旨は、出願人の権利保護と技術開発の促進にある。

イ:×
出願公開制度は特許法には規定されているが、実用新案法には存在しない。実用新案は無審査登録制度であり、出願公開の必要がないため、制度として設けられていない。

ウ:×
不実施の場合の通常実施権の裁定制度は、特許法に規定されているが、実用新案法にも同様の制度が存在する。したがって「規定されていない」とする記述は誤りである。

エ:×
「物を生産する方法」は、特許法上の発明には該当するが、実用新案法上の考案には該当しない。実用新案法では「物品の形状、構造、組合せ」に限定されており、方法は対象外である。


学習のポイント

  • 国内優先権制度は、特許法・実用新案法の両方に存在する制度であり、出願人の権利保護に資する。
  • 出願公開制度は特許法にのみ存在し、実用新案法には規定されていない。
  • 裁定制度は両法に存在するため、制度の有無を問う選択肢には注意が必要である。
  • 実用新案法では「方法」は保護対象外であり、物品の構造等に限定される点が重要である。