過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第2問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や誤答肢の吟味が必要)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度)
  • 重要度:★★★☆☆(頻出ではないが、学習価値が高い)

問題文

伊丹敬之の提唱する「見えざる資産」に関する記述として、最も適切なものはどれか。


見えざる資産とは、「ヒト・モノ・カネ・情報」以外で企業の有する資産を総称した概念である。
見えざる資産とは、具体的には技術やノウハウ、組織風土を指し、目に見える価値であるブランドは含まれない。
見えざる資産は、いったん出来上がるとさまざまな形で多重に利用されることはない。
見えざる資産は、企業と外部との間の情報の流れだけではなく、企業内部の情報の流れからも生じる。
見えざる資産は、競争上の差別化の源泉にはなりにくい性質を有する。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:✕
 「ヒト・モノ・カネ・情報」以外を総称する概念ではない。見えざる資産は、企業の競争力の源泉となる知識・ノウハウ・組織文化などを指す。

イ:✕
 ブランドも見えざる資産に含まれる。ブランド価値は目に見えにくいが、企業にとって重要な無形資産である。

ウ:✕
 見えざる資産は一度形成されると、技術やノウハウ、組織文化などが多重に利用され、他の事業や活動にも波及する性質を持つ。

エ:〇
 見えざる資産は、外部との関係からだけでなく、企業内部の情報の流れや組織内の経験の蓄積からも生じる。伊丹敬之の理論に沿った正しい記述である。

オ:✕
 見えざる資産は、模倣困難性や蓄積性を持ち、競争上の差別化の源泉となる。差別化しにくいというのは誤り。


学習のポイント

  • 「見えざる資産」は伊丹敬之が提唱した概念で、企業の競争優位の源泉となる無形資産を指す。
  • 技術・ノウハウ・組織文化・ブランドなど、目に見えにくいが模倣困難で蓄積可能な資産が含まれる。
  • 外部との関係だけでなく、内部の情報の流れや経験の蓄積からも形成される点が重要。
  • 試験では「ブランドは含まれるか」「多重利用されるか」「差別化の源泉になるか」といった誤答肢パターンに注意。