過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第7問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(誤答肢の吟味が必要)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度)
  • 重要度:★★★★☆(頻出論点。競争戦略の基本理解に直結)

問題文

M. ポーターの「業界の構造分析(5フォース分析)」における代替品に関する記述として、最も適切なものはどれか。


ある業界に代替品が存在することは、その業界の潜在的な収益性に正の影響を及ぼす。
代替品となるものが少ないほど、代替品の脅威は大きくなる。
代替品のコストパフォーマンス比の向上が急速であるほど、その代替品の脅威は大きい。
代替品を提供する業界の利益率が高いほど、代替品の脅威は小さい。
何を代替品と見なすかは客観的に識別しやすいものである。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:✕
 代替品が存在することは、業界の収益性を低下させる方向に働く。正の影響を及ぼすわけではない。

イ:✕
 代替品が少ないほど脅威は小さい。逆に代替品が多いほど脅威は大きい。

ウ:〇
 代替品のコストパフォーマンスが急速に向上すると、顧客が代替品に流れる可能性が高まり、脅威が大きくなる。ポーターの5フォース分析における典型的な説明である。

エ:✕
 代替品を提供する業界の利益率が高いほど、むしろその業界は競争力を持ち、代替品の脅威は大きくなる。

オ:✕
 代替品の範囲は必ずしも客観的に明確ではなく、顧客の選好や利用目的によって変わるため、識別は容易ではない。


学習のポイント

  • 5フォース分析における「代替品の脅威」は、業界外の製品・サービスが顧客ニーズを満たす可能性を示す。
  • 代替品の脅威が大きいと、価格競争が激化し、業界全体の収益性が低下する。
  • 代替品の脅威を判断する際は「コストパフォーマンス」「顧客のスイッチングコスト」「代替品の普及速度」が重要な要素となる。