過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第19問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(基本知識問題)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上。比較的易しい)
  • 重要度:★★★☆☆(組織行動論の基礎。頻出テーマ)

問題文

限られた資源や成果を組織メンバーに分配するに当たっては、公正な手続きを経る必要がある。このような分配手続きにおいて求められる公正を「手続き的公正」と呼ぶ。分配を受ける組織メンバーが、ある分配手続きを「公正である」と肯定的に評価する際の判断基準に関する記述として、最も適切なものはどれか。


一般的な道徳や倫理基準の影響をできる限り排除した独自性の高い分配手続きであること
特定の対象者だけに他者よりも優遇された分配手続きが適用されること
分配手続きの影響を受ける人々の関心や価値観をできる限り排除した分配手続きであること
分配の決定プロセスにおいて修正や不服申し立ての機会があること
分配を決定する際に利用される情報が曖昧さを含むものであること

出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:✕
 道徳や倫理基準を排除するのではなく、むしろ一般的な倫理観に沿った手続きが公正とされる。

イ:✕
 特定の対象者を優遇する手続きは「公平性」を欠き、不公正と評価される。

ウ:✕
 関心や価値観を排除するのではなく、関係者の意見や価値観を反映できる手続きが公正とされる。

エ:〇
 修正や不服申し立ての機会があることは「手続き的公正」の重要な基準の一つ。透明性・一貫性・是正可能性が重視される。

オ:✕
 曖昧な情報に基づく決定は不信感を招き、公正性を損なう。


学習のポイント

  • 手続き的公正の基準
    一貫性、偏りの排除、正確な情報の利用、是正の機会、倫理性、関与の機会など。
  • 分配的公正との違い
    分配的公正は「成果の分け方の公平さ」、手続き的公正は「その決定プロセスの公平さ」に焦点を当てる。
  • 実務への示唆
    公正な手続きは組織メンバーの納得感・信頼感を高め、モチベーションや組織コミットメントを強化する。