過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第21問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(ネットワーク理論の理解が必要)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的)
  • 重要度:★★★☆☆(組織間関係論の基礎。試験頻出テーマ)

問題文

組織間関係や組織間ネットワークに関する記述として、最も適切なものはどれか。


「埋め込まれた紐帯」では機会主義的行動が生じやすいため、組織間ネットワークにおける「埋め込まれた紐帯」の比率を減らすことが望ましい。
「埋め込まれた紐帯」で結ばれた組織間ネットワークでは、暗黙的な知識の移転が促進されやすい。
「弱い紐帯の強み」を最大限享受しようとすれば、関係を取り結ぶ組織を絞り込み、弱い紐帯を強い紐帯に転換することが不可欠である。
組織にとって新奇性の高い知識をより獲得するためには、これまでに築いてきた組織との紐帯をいっそう強めることが望ましい。
他の組織からの影響を極力排除するためには、「埋め込まれた紐帯」のみによって構成される組織間ネットワークを構築することが望ましい。

出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:✕
 「埋め込まれた紐帯」は信頼関係に基づく強い紐帯であり、むしろ機会主義的行動を抑制する効果がある。

イ:〇
 強い紐帯(埋め込まれた紐帯)では、信頼関係を背景に暗黙知やノウハウの移転が促進されやすい。

ウ:✕
 「弱い紐帯の強み」は、弱い紐帯を維持することで新しい情報や多様な知識を得られる点にある。強い紐帯に転換することが不可欠ではない。

エ:✕
 新奇性の高い知識は、既存の強い紐帯よりも弱い紐帯から得られることが多い。強めるだけでは新しい知識は得にくい。

オ:✕
 埋め込まれた紐帯のみで構成されるネットワークは閉鎖的になり、新しい知識や外部の影響を取り込めなくなる。


学習のポイント

  • 強い紐帯(埋め込まれた紐帯)
    信頼関係に基づき、暗黙知やノウハウの移転に有効。
  • 弱い紐帯の強み
    多様で新奇性の高い情報は弱い紐帯から得られやすい。
  • ネットワーク設計の示唆
    強い紐帯と弱い紐帯をバランスよく持つことで、信頼性と新規性の両立が可能になる。