過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第24問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(労働法の基本知識)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上。比較的易しい)
  • 重要度:★★★☆☆(労働契約・採用関連は頻出テーマ)

問題文

労働者の募集及び採用、採用内定、試用期間、労働契約に関する記述として、最も適切なものはどれか。


使用者が期限を定めない労働契約を締結する際の労働条件として3カ月の試用期間を定め書面により通知した場合、当該期間中に解雇するときは労働基準法の解雇予告制度の適用を受けない。
使用者が労働者を募集及び採用するに当たり、転居を伴う転勤ができる者のみを対象とすることは、合理的な理由の有無にかかわらず、雇用の分野における性別に関する間接差別には該当しない。
労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。
労働契約を締結する承諾の意思表示をした新規学卒者の採用内定を使用者が取り消すことは、実際の就業が開始する前であることから、理由の如何(いかん)にかかわらず有効である。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:✕
 試用期間中であっても労働契約は成立しており、解雇には労働基準法の解雇予告制度が適用される。

イ:✕
 転勤要件を課すこと自体が合理的理由を欠けば、性別に関する間接差別に該当する可能性がある。合理性の有無を問わず差別に当たらないとするのは誤り。

ウ:〇
 労働契約は「労務の提供」と「賃金の支払い」について労使が合意することで成立する。労働契約法の基本的定義に沿った正しい記述。

エ:✕
 採用内定は始期付・解約権留保付の労働契約と解され、合理的理由なく取り消すことは解雇権濫用に当たり無効となる場合がある。


学習のポイント

  • 労働契約の成立要件
    労働者が労務を提供し、使用者が賃金を支払うことに合意すれば成立。
  • 試用期間の法的性質
    試用期間中も労働契約は有効であり、解雇には解雇予告制度が適用される。
  • 採用内定の法的効果
    内定は労働契約の成立を意味し、合理的理由なく取り消すことは無効となる可能性がある。