過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第28問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(ブランド戦略用語の正確な理解が必要)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%)
  • 重要度:★★★☆☆(ブランド・マネジメントの基本)

問題文

ブランド・マネジメントに関する記述として、最も適切なものはどれか。


ある企業が既存事業とは異なる新たな事業領域に進出する際に、既存事業で構築してきた既存のブランドを新事業でも用いることを、ブランドのリポジショニングと呼ぶ。
企業が既存製品と同一カテゴリーに新製品を投入する際には、そのカテゴリーの既存製品に用いてきたブランドを用いることも多いが、あえて新しいブランドをつけることがあり、これをマルチ・ブランド戦略と呼ぶ。
ブランドや企業の創業者の物語、目指す大きな方向性、専門性などをコーポレート・ブランドによって示し、その下に個々のプロダクト・ブランドが位置づけられることも多いが、これら2種類のブランドを同時に冠することをダブルチョップ戦略と呼ぶ。
マーケティングにおいては、自社のブランドが消費者の想起集合に含まれるようにすることが極めて重要である。このためには、すでに想起集合に入っている競合ブランドと比較して際立った異質性を自社ブランドにもたせることが、まず最初に必要である。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:✕
 既存ブランドを新事業で用いることは一般に「ブランド拡張(brand extension)」であり、リポジショニングは既存市場・カテゴリー内で位置づけや認知を再定義することを指す。用語の混同。

イ:〇
 同一カテゴリーに新製品を投入する際、既存ブランドではなく新ブランドを併存させて展開するのは「マルチ・ブランド戦略」。セグメント別の最適化や価格帯差別化、カニバリ抑制などを意図する。

ウ:✕
 企業(コーポレート)ブランドと製品(プロダクト)ブランドを併記する設計は「エンドースド・ブランド」または「ダブルブランド」と呼ぶのが一般的で、「ダブルチョップ戦略」という呼称は適切でない。

エ:✕
 想起集合に入れる第一歩は「カテゴリー連想の確立(何のブランドか)」であり、最初から際立った異質性を前面に出すより、基本的認知を形成した上で差別化を強化するのが定石。


学習のポイント

  • ブランド拡張とリポジショニングの違い
    拡張=新カテゴリーへブランド適用/リポジショニング=既存カテゴリー内の位置づけ再定義。
  • マルチ・ブランド戦略の狙い
    同カテゴリーで複数ブランドを展開し、セグメントごとに最適化・差別化。
  • ブランド・アーキテクチャ
    ハウスブランド、エンドースド、独立ブランドなどの構造設計を理解しておく。
  • 想起集合へのステップ
    カテゴリー認知の確立 → ベネフィットの明確化 → 独自性(差別化)の強化。