過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第36問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(先発・後発優位の整理)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%)
  • 重要度:★★★☆☆(新製品戦略の基礎)

問題文

以下のa~fは、新製品に関する先発優位または後発優位についての記述である。このうち、先発に比べて後発の方がよりメリットが大きいとされる記述の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。


経験効果が大きい。
製品の規格をコントロールしやすい。
金銭的コストや心理的コストなどの切り替えコストの発生を利用できる。
需要の不確実性を見極められる。
消費者の心の中に参入障壁を形成できる。
PLC において主流となる顧客ニーズに対応しやすい。

〔解答群〕
ア aとc
イ bとe
ウ cとf
エ dとe
オ dとf

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:オ


解説

ア:×
 経験効果は一般に先発が積み重ねやすく、コスト低減や品質改善で優位に立ちやすい。

イ:×
 規格のコントロールは標準形成に関与できる先発が有利になりやすい。

ウ:×
 切り替えコストは先発がスイッチを阻む参入障壁として活用しやすい。

エ:×
 消費者の心的参入障壁(認知・想起・信頼)は先発が形成しやすい。

オ:〇
 後発は先発の市場反応を見て需要の不確実性を低減でき(d)、PLCの進展に伴って主流ニーズに合わせた改良・追随がしやすい(f)。


学習のポイント

先発優位の典型
 経験効果、規格主導、切り替えコスト、心的参入障壁の形成は先発が取りやすいポジション。

後発優位の場面
 需要不確実性の低減、主流ニーズへの適合(改善・模倣・差別化)で優位を取りやすい。

戦略上の示唆
 先発は標準化・ロックインを強化、後発は学習による改良とタイミング最適化で勝ち筋を作る。