難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(消費者行動の基礎理論と用語)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%)
- 重要度:★★★☆☆(セグメンテーションと購買行動)
問題文
次の文章を読んで、下記の設問に答えよ。
消費者市場の分析は、企業が適正な製品を、適正なタイミングや方法で、適正なターゲット顧客に販売するために不可欠である。企業は、消費者を取り巻く社会文化的要因や個人的要因を分析することによって、各消費者に適したマーケティングの実現を目指している。
(設問1)文中の下線部①に関する記述として、最も適切なものはどれか。
(設問2)文中の下線部②に関する記述として、最も適切なものはどれか。
出典: 中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:設問1:オ / 設問2:イ
解説(設問1)
ア:×
原産国イメージは標準化・適応化の二者択一を決める要因ではない。どちらの戦略でも活用され得る一方、社会制度や文化分析は原則的に常に必要である。
イ:×
日本でも社会階層(職業・教育・所得など)は購買行動や媒体接触に影響し得る。無効と断定するのは不適切。
ウ:×
オピニオンリーダーは新製品普及における初期の採用を促すが、「インフルエンサー=後期多数採用者」と固定するのは誤り。影響源は採用時期を一義的に規定しない。
エ:×
スノッブ効果は他者の消費が増えると欲求が低下し、バンドワゴン効果は他者の消費が増えると欲求が増大する。記述は両者を逆にしている。
オ:〇
デモグラフィックは年齢・性別・所得・家族ライフステージなど、サイコグラフィックは価値観・ライフスタイル・趣味・関与などが典型的に含まれる。
解説(設問2)
ア:×
サブリミナル広告の効果は限定的で、選択的注意や認知処理を迂回してもブランド形成への強い影響は実証的に乏しい。
イ:〇
アサエルの枠組みでは、関与が低くブランド差異が大きいときにバラエティ・シーキングが生じやすい。
ウ:×
短期的保持は短期記憶/ワーキングメモリであり、「手続き的記憶」は技能に関わる長期の非陳述記憶。記述の対応が誤っている。
エ:×
気分や雰囲気の誤帰属により評価が同化する現象は、原因を正しく認識すると効果が弱まる傾向はあるが、記述の断定は過度であり一般化できない。
学習のポイント
・社会文化的要因の整理
価値観・慣習・社会階層・準拠集団・原産国イメージは戦略選択に広く影響する
・セグメンテーション変数の使い分け
デモグラ(年齢・性別・所得・家族段階)とサイコグラ(価値観・ライフスタイル・関与)を統合
・注意・記憶・感情の基礎
選択的注意、長期記憶(意味・エピソード・手続き)と気分誤帰属の効果を理解
・購買行動の分類(アサエル)
関与×ブランド差異で習慣・バラエティ・不協和低減・複雑型を判断