過去問解説(企業経営理論)_2024年(令和6年) 第40問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(概念図の対応づけ)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度:★★★☆☆(リサーチ手法の適用理解)

問題文

下図は、「自分でわかっている」自己と「他人がわかっている」自己の一致・不一致を、窓のように見える4つの枠に分類したジョハリの窓と呼ばれる概念図である。企業が消費者の自己に関するデータを収集する場合、どのリサーチ手法が、どの窓の自己データ収集において有効かを記した記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

自分でわかっている
自分ではわからない
他人がわかっている
開放の窓
盲点の窓
他人はわからない
隠された窓
未知の窓

〔解答群〕
ア インタビュー調査は、どの窓の自己データの収集についても有効ではない。
イ 行動観察調査は、「開放の窓」についてのデータを得るために有効ではない。
ウ 行動観察調査は、「盲点の窓」についてのデータを得るために有効である。
エ 定量的なアンケート調査は、「開放の窓」と「盲点の窓」についてのデータを得るために有効である。
オ 定量的なアンケート調査は、「未知の窓」についてのデータを得るために有効である。

出典:中小企業診断協会|2024年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
 インタビュー調査は本人が語る情報を引き出すため、「開放の窓」「隠された窓」の把握に有効であり、無効ではない。

イ:×
 開放の窓は本人・他者とも既知の情報で、インタビューやアンケート、観察でも取得可能。「有効ではない」は誤り。

ウ:〇
 盲点の窓は本人には未認知だが他者から観察可能な行動・癖・反応などで、行動観察調査が有効。

エ:×
 アンケートは自己申告のため「開放の窓」「隠された窓」に有効だが、本人未認知の盲点には不向き。

オ:×
 未知の窓は本人・他者ともに未知で、通常の定量アンケートでは直接取得が困難。長期観察や介入で徐々に明らかになる領域。


学習のポイント

ジョハリの窓の対応
 自己認知と他者認知の組み合わせで「開放/盲点/隠された/未知」を整理する

手法と窓のマッピング
 インタビュー=開放・隠された、観察=盲点、未知は長期探索で補助的把握

自己申告の限界
 アンケートは本人の未認知(盲点)や潜在領域(未知)には届きにくい

観察の強み
 実行行動・非言語反応の把握で、本人の気づいていない特徴を明らかにする