過去問解説(企業経営理論)_2023年(令和5年) 第2問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(VRIOの基本理解)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度:★★★☆☆(競争優位の持続性を問う基礎知識)

問題文

J. B. バーニーが提唱した「VRIO フレームワーク」に則った記述として、最も適切なものはどれか。


外部環境の機会を適切に捉えた価値がある経営資源であれば、業界内において希少でなくても、持続的な競争優位の源泉となる。
価値があり、業界内において希少で、別の経営資源で代替される可能性が少ない経営資源を保有していても、それが組織体制とコンフリクトを起こすようであれば、組織体制を変更せずに経営資源を見直さなければならない。
価値が高く、業界内で希少な経営資源では、一時的な競争優位を得ることはできない。
業界内で模倣困難かつ希少で価値ある経営資源を有していても、競争優位性を持続的に確立できないことがある。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:×
 VRIOでは「価値がある」だけでは持続的競争優位にはならない。希少性・模倣困難性・組織による活用が揃って初めて持続的優位となる。

イ:×
 組織体制と資源がコンフリクトする場合は、資源を捨てるのではなく、組織体制を資源活用に適合させることが求められる。

ウ:×
 価値があり希少な資源は、一時的な競争優位を得ることは可能。ただし模倣困難性や組織の整備がなければ持続的にはならない。

エ:〇
 VRIOの4要素(Value, Rarity, Imitability, Organization)のうち、組織的に活用できなければ持続的競争優位には至らない。したがって、価値・希少性・模倣困難性が揃っていても、組織要因が欠ければ持続性は確立できない。


学習のポイント

VRIOフレームワークの4要素
 Value(価値)、Rarity(希少性)、Imitability(模倣困難性)、Organization(組織による活用)

持続的競争優位の条件
 4要素すべてを満たす必要がある。いずれかが欠けると一時的優位や競争均衡にとどまる。

組織要因の重要性
 優れた資源を持っていても、組織が活用できなければ成果につながらない。

戦略実務での活用
 自社資源をVRIOで評価し、強みを持続的優位に転換できるかを検証する。