過去問解説(企業経営理論)_2023年(令和5年) 第3問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(指標と対抗度の関係)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度:★★★☆☆(業界構造の基礎理解)

問題文

下表では、業界A~Eの競争状況が示されている。M. ポーターの「業界の構造分析(5フォース分析)」に基づき、既存企業間の対抗度の最も低い業界を下記の解答群から選べ。ただし、他の条件は全て等しいものとする。


業界A 業界B 業界C 業界D 業界E
ハーフィンダール指数 0.7 0.7 0.5 0.3 0.3
製品差別化の程度 低い 高い 低い 高い 低い

〔解答群〕
ア 業界A
イ 業界B
ウ 業界C
エ 業界D
オ 業界E

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:×
 集中度が高い(HI=0.7)ものの、差別化が「低い」ため価格競争に陥りやすく、対抗度は下がりきらない。

イ:〇
 高い集中度(HI=0.7)かつ差別化「高い」は、企業間の価格競争を緩和し、既存企業間の対抗度が最も低くなる。

ウ:×
 集中度が中程度(HI=0.5)で差別化「低い」。競争は相対的に激しく、対抗度は高い。

エ:×
 集中度が低い(HI=0.3)でも差別化「高い」ことで競争は緩和するが、企業数が多く対抗度は依然高め。

オ:×
 集中度が低く(HI=0.3)差別化も「低い」。価格競争が激化し、対抗度は最も高い部類。


学習のポイント

対抗度に効く二要因
 集中度(ハーフィンダール指数)と製品差別化の高さが、価格競争の強さを規定する

集中度の効果
 企業数が少なくシェア集中が高いほど、協調や暗黙の了解が働きやすく対抗度が低下する

差別化の効果
 顧客が価格以外で選ぶため、価格競争が緩み、対抗度が下がる

組み合わせの判断
 「高集中×高差別化」が最も対抗度が低く、「低集中×低差別化」が最も高い