難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(経験曲線×価格戦略の整合)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%)
- 重要度:★★★☆☆(導入期の価格設計)
問題文
経験曲線効果を用いた価格戦略に関する以下の記述について、空欄A~Cに入る語句の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
それまでにない全く新しい製品を発売する場合や、製品自体の存在が認識されておらず市場がなかなか拡大しない場合、製品ライフサイクルの初期段階でコストリーダーとなるためには、A戦略をとる必要がある。
この戦略は、需要を喚起させるために思い切った低価格を設定し、ライバル企業よりも先に自社製品の生産数量および販売数量を増やすというものである。
当該製品の経験曲線効果がB、コスト低下のペースがC場合、この戦略はより効果的である。
出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:エ
解説
ア:×
上澄み価格(スキミング)は高価格で需要を層ごとに刈り取る戦略であり、導入期に早期に生産・販売を伸ばして経験を蓄積する目的とは逆である。
イ:×
上澄み価格に「経験曲線効果が小さく」「コスト低下が遅い」の組み合わせは、浸透目的にも合致しない。
ウ:×
上澄み価格に「小さく×速い」を組み合わせても、低価格で量を取り経験を積む趣旨に適合しない。
エ:〇
浸透価格(ペネトレーション)は低価格で需要を喚起し累積生産量を増やす。経験曲線効果が大きく、コスト低下が速いほど、早期にコスト優位を獲得できるため戦略効果が高い。
オ:×
浸透価格であっても、経験曲線効果が小さくコスト低下が遅ければ、量を取っても原価優位が十分に得られず効果が薄い。
学習のポイント
・価格戦略の基本
導入期は「スキミング=高価格で利幅確保」「ペネトレーション=低価格で量拡大」
・経験曲線効果
累積生産に伴う学習で単位コストが低下。効果が大きく、低下が速いほど浸透価格の合理性が高まる
・整合の見極め
量を優先する浸透価格は、学習による原価低減が見込めるときに選好
・注意点
供給制約・資金繰り・競合の追随速度も考慮し、価格下げの持続可能性を確認