難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(目標設定理論の基本)
- 正答率:★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度:★★★☆☆(モチベーション理論の応用)
問題文
E. A. ロックと G. P. レイサムらが提唱した目標設定理論に則した管理者の判断と行動に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
自分には目標を達成できる能力があるという信念を持つ人ほど、達成が困難な状況になると目標を断念する傾向があるため、自分の能力を過信しないように部下に伝えた。
イ
達成に多くの努力を要する目標は、達成できる見込みが立てづらく部下からの反発や抵抗が予想されるため、容易に達成できる業績目標を設定した。
ウ
達成の難易度が高い目標を設定するにあたっては、部下にその目標を受容させることが重要であるため、その目標が公正で妥当であることを強調して部下に伝えた。
エ
一人ひとりの目標の内容が職場で公表されると、目標に対するコミットメントが阻害されるため、各自の目標が互いに知られることのないように配慮した。
オ
明確な数値目標を設定すると、目標達成に対する心理的プレッシャーが高まり、部下の達成意欲が低下するため、自由に解釈できる定性的な目標を設定した。
出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ウ
解説
ア:×
自己効力感(自分はできるという信念)が高い人ほど、困難な状況でも粘り強く取り組む傾向がある。断念しやすいというのは誤り。
イ:×
目標設定理論では「困難で具体的な目標」が高い業績を導く。容易な目標はモチベーションを高めにくい。
ウ:〇
困難な目標を受容させるには、公正性や妥当性を強調し、納得感を持たせることが重要。理論の趣旨に合致する。
エ:×
目標の公表はコミットメントを高める効果がある。阻害するというのは逆。
オ:×
数値目標など明確な目標の方が達成意欲を高める。曖昧な定性的目標は効果が弱い。
学習のポイント
・目標設定理論の核心
「困難で具体的な目標」が最も高い業績を生む。
・自己効力感の役割
高いほど困難な目標にも粘り強く挑戦する。
・コミットメントの条件
目標が公正・妥当であること、本人が納得していることが重要。
・試験対策のコツ
「容易」「阻害」「低下」など極端な表現は誤答の可能性が高い。