過去問解説(企業経営理論)_2023年(令和5年) 第18問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★☆☆☆(状況適合の基本)
  • 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度:★★★☆☆(リーダーシップ理論の基礎)

問題文

リーダーシップの条件適合理論の1つであるパス・ゴール理論に関する記述として、最も適切なものはどれか。


自分の行動とその結果を自分自身が統制していると考える部下は、リーダーから意思決定に関して相談されたり提案を求められたりすることに強い満足を得る傾向がある。
タスクの内容と達成方法を具体的に指示するリーダーシップは、部下のタスクが曖昧な場合よりも高度に構造化されている場合の方が、部下の満足度を高めやすい。
タスクを遂行する自らの能力が高いと認識する部下ほど、タスクの内容や達成方法を具体的に指示するリーダーシップに対する満足度が高くなる。
部下の感情面への配慮を示すリーダーシップは、タスクを遂行すること自体から得られる部下の満足度が低い場合よりも高い場合の方が、部下の満足度を高めやすい。
リーダーは、自らの性格的な特性に応じて、指示型、支援型、参加型、達成志向型のいずれかの行動スタイルをとることで部下の満足度を高められる。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
 内的統制(自分の結果は自分でコントロールできると考える)を持つ部下は、参加型リーダーシップで満足度が高まりやすい。意思決定への関与が動機づけにつながる。

イ:×
 指示型(ディレクティブ)は、タスクが曖昧・構造化が低いときに有効。高度に構造化されている場面では冗長になり満足度を下げることがある。

ウ:×
 自己能力が高いと認識する部下は、過度な具体指示を不要・干渉的と感じやすく、満足度はむしろ低下する。

エ:×
 支援型(サポーティブ)は、タスク自体の満足度が低い・ストレスが高い場面で効果が大きい。満足度が高い場合は相対的効果は小さい。

オ:×
 パス・ゴール理論は性格でスタイルを固定せず、状況(部下特性・タスク特性・環境)に合わせて指示型・支援型・参加型・達成志向型を使い分ける。


学習のポイント

スタイル選択の基準
 部下特性(内的統制・能力・経験)とタスク特性(曖昧さ・構造化・ストレス)に合わせてリーダー行動を調整する。

指示型の適用場面
 曖昧で構造化が低いタスクで、ルール明確化・手順提示により不確実性と不安を低減する。

支援型の適用場面
 退屈・ストレス・危険度が高い業務で、配慮や支援によって満足度・ウェルビーイングを高める。

参加型・達成志向型
 内的統制が高い・能力が高い部下には、意思決定参加や高い目標提示がモチベーションを強化する。