難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(資源依存理論の基本)
- 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
- 重要度:★★★☆☆(組織間関係の基礎)
問題文
資源依存パースペクティブでは、組織がさまざまな資源をステークホルダー(利害関係者)に依存していることに注目している。
メーカーであるA社が、事業活動に必要な原料Xを、Xのみを製造販売しているB社から継続的に購買している場合に、両社間に生じうるパワー関係に関する記述として、資源依存パースペクティブの観点から、最も不適切なものはどれか。
ア
A社がB社以外の他社から原料Xをどの程度購買しているかどうかが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。
イ
A社が保有している機械設備の資産評価額が、B社が保有する機械設備の資産評価額よりも相対的に大きいことが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。
ウ
B社の販売量全体におけるA社向けの販売量が占める比率が、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。
エ
原料Xの販売についてのB社の自由裁量に関して法律などによる制約があるかどうかが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。
オ
原料Xを入手できなくてもさほど大きな問題が生じずにA社が事業活動を営むことができるかどうかが、両社間のパワー関係に大きな影響を与える可能性がある。
出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:イ
解説
ア:〇
A社が他社からも原料Xを調達できれば依存度が下がり、B社のパワーは弱まる。典型的な資源依存の視点。
イ:×
機械設備の資産評価額は、原料Xの依存関係とは直接関係がない。資源依存パースペクティブの観点からは不適切。
ウ:〇
B社にとってA社の取引比率が高ければ、B社もA社に依存するため、パワーバランスに影響する。
エ:〇
法律や規制によってB社の裁量が制約されれば、A社へのパワー行使は制限される。
オ:〇
A社が原料Xを欠いても事業継続できるなら、B社への依存度は低く、パワーは弱まる。
学習のポイント
・資源依存パースペクティブの基本
組織は外部資源に依存し、その依存度がパワー関係を規定する。
・依存度を決める要因
代替可能性、重要性、供給者の裁量、取引比率などが影響する。
・不適切な観点
設備資産の大きさなど、資源依存と直接関係しない要素はパワー関係の説明にはならない。
・試験対策のコツ
「依存度が高い=パワーが強い」というシンプルな構図を押さえ、設問で依存の有無を見極める。