難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★☆☆☆(組織変革の阻害要因の理解)
- 正答率:★★★★☆(正答率70%以上)
- 重要度:★★★☆☆(組織変革論の基礎)
問題文
組織には、環境変化とそれに伴う組織変革に対して抵抗を示す側面がある。組織において変化や変革に対する抵抗が生じる理由に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
ア
業務プロセスを変革したとしても、それと整合するように組織構造や業績評価システムといった他のサブシステムも併せて変革しない限り、変革を元に戻す組織的な作用が働きやすいから。
イ
現状の資源配分パターンから最も大きな利益を得ている部門は、環境変化に伴う資源配分パターンの変革を脅威と見なし抵抗する傾向があるから。
ウ
支援的な組織風土によって組織の心理的安全性を高めに維持しようとする構造的慣性が組織には存在するから。
エ
従業員が所属する集団の規範が、変革に対する従業員の前向きな考えや行動を抑制するように作用する可能性があるから。
オ
従業員の思考や行動を同質化する組織社会化のプロセスが、組織の革新性を阻害する可能性があるから。
出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ウ
解説
ア:〇
業務プロセスだけを変えても、組織構造や評価制度が旧来のままなら整合性が取れず、元に戻そうとする力(構造的慣性)が働く。
イ:〇
資源配分で利益を得ている部門は、変革によって既得権益が脅かされるため抵抗する傾向がある。
ウ:×
支援的な組織風土や心理的安全性は、むしろ変革を促進する要因であり、抵抗の理由にはならない。不適切な記述。
エ:〇
集団規範が変革に消極的であれば、従業員の前向きな行動を抑制する可能性がある。
オ:〇
組織社会化による同質化は、革新性を阻害し、変革への抵抗要因となり得る。
学習のポイント
・構造的慣性
組織の制度・仕組み・評価体系が変革を元に戻す力として作用する。
・既得権益の防衛
資源配分の変化は、利益を得ている部門の抵抗を招きやすい。
・心理的安全性
支援的風土は変革を促進する。抵抗要因とするのは誤り。
・集団規範の影響
集団の規範が変革に消極的なら、従業員の行動を抑制する。
・組織社会化の影響
思考や行動の同質化は革新性を阻害し、変革抵抗の要因となる。