難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(労働時間制度の理解)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%)
- 重要度:★★★☆☆(労働基準法の基本)
問題文
労働時間に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
1週間の所定労働時間が37時間30分で1日の所定労働時間が7時間30分の完全週休二日制の事業場において、就業規則に延長勤務を指示することがある旨規定され労働者に周知されている場合に、使用者は、時間外労働に関する書面による労使協定を締結していなくても、所定労働時間外の労働の制限がない労働者を法定労働時間以内である30分間は延長して勤務させることができる。
イ
12時から13時までを昼食休憩として休憩時間を与えている事業場において、一斉休憩の適用除外に関する書面による労使協定を締結したうえで、この時間帯に電話及び来客対応のために労働者の一人を当番制により待機させている場合、当番中に電話も来客も全くなかったときは、当該時間は労働時間ではなくなる。
ウ
使用者が実施する技術水準向上のための教育又は研修が所定労働時間外に実施される場合には、当該教育又は研修が、参加しない労働者に就業規則で定めた制裁を科すなど不利益取り扱いによって参加を強制するものではない自由参加制であっても、その時間は時間外労働になるため、時間外労働に関する書面による労使協定の締結が必要となる。
エ
定期路線トラック業者において、運転手に対してトラック運転の他に貨物の積み込みを行わせることとして、トラック出発時刻の数時間前に出勤を命じている場合、貨物の積み込み以外の時間の労務の提供がない手待ち時間は労働時間ではない。
出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ア
解説
ア:〇
所定労働時間(7時間30分)を超えても、法定労働時間(1日8時間・週40時間)の範囲内であれば、労使協定(36協定)がなくても延長勤務を命じることができる。したがって30分の延長は可能。
イ:×
待機中は労務提供の義務から解放されていないため、電話や来客がなかったとしても労働時間に該当する。
ウ:×
自由参加の研修であれば、労働時間には該当しない。強制参加や不利益取扱いがある場合のみ労働時間とされる。
エ:×
手待ち時間は労働時間に含まれる。労務提供がなくても使用者の指揮命令下にあるため。
学習のポイント
・法定労働時間と所定労働時間
所定労働時間は会社が定める時間、法定労働時間は労基法で定められた上限(1日8時間・週40時間)。
・36協定の必要性
法定労働時間を超える場合に必要。法定内であれば不要。
・労働時間の範囲
待機時間・手待ち時間も労働時間に含まれる。
・研修の扱い
強制参加や不利益取扱いがある場合は労働時間。自由参加なら労働時間に含まれない。
・試験対策のコツ
「所定と法定の違い」「待機時間の扱い」「研修の自由参加か強制か」を整理して覚える。