過去問解説(企業経営理論)_2023年(令和5年) 第27問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(社会保険の実務基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%以上)
  • 重要度: ★★★☆☆(労務管理の必須知識)

問題文

次の記述は、株式会社Aを経営するB社長から、C中小企業診断士への相談内容をまとめたものである。健康保険諸法令及び厚生年金保険諸法令に照らし、各相談事項に対する正しい回答として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。


雑貨を製造・販売する株式会社Aを新しく設立したB社長は、従業員から「健康保険と厚生年金保険はどうなっていますか。」と質問を受けた。B社長は、健康保険及び厚生年金保険(以下、両者を併せて社会保険ということがある)については全く理解していなかったため、会社を設立する際に支援を受けたC中小企業診断士に相談することとした。B社長の相談内容は、「社会保険の手続きはどのようにするのか。従業員に対してどのように説明するのか。社会保険の保険料の納付と負担は誰がどのようにするのか。手続きをした後の毎月の保険料は変わらないのか。ボーナス支給時にも保険料がかかるのか。」というものであった。

株式会社Aでは、従業員として30歳代の正社員3名を使用しており、被扶養者に該当する家族を有する者はいない。ボーナスは夏期と年末の年2回支給を予定している。なお、株式会社Aは全国健康保険協会管掌健康保険の適用事業所であり、電子申請は行っていないものとする。


社会保険の手続きについては、事業主は、事業所が新規に社会保険の適用事業所となったこと及び従業員が被保険者の資格を取得したことについて、新規適用届及び被保険者資格取得届など必要書類を日本年金機構に提出することが必要です。
社会保険の保険料の納付と負担については、事業主が毎月、従業員の給与から源泉徴収して納付することになっていますが、口座振替の申出をすることもできます。また、事業主の義務は源泉徴収した保険料を納付することであって、保険料を負担する義務は保険給付の受給者になり得る被保険者だけが負います。
従業員に対しては、被保険者資格取得の確認通知書が届いたらその内容を従業員に通知して、今後資格情報に変更が生じた場合や被扶養者が増えるときは、従業員が各自で住所地最寄りの年金事務所に届け出るように説明してください。
手続き後の毎月の社会保険の保険料については、昇給の都度変更することがあります。ボーナス支給時には厚生年金保険に関してのみ保険料を納付することになっており、健康保険に関する保険料の納付は不要です。

出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
 事業所の新規適用と従業員の資格取得は、事業主が「新規適用届」「被保険者資格取得届」などを日本年金機構へ提出して手続します。協会けんぽ適用でも窓口は年金機構です。

イ:×
 保険料は事業主と被保険者が折半負担が原則。事業主には「納付義務」に加え「負担義務」もあります。被保険者だけが負担するわけではありません。

ウ:×
 資格や被扶養者の届出は原則として事業主経由で行います。従業員が個別に年金事務所へ届ける運用ではありません。

エ:×
 毎月の保険料は「標準報酬月額」に基づき、随時改定の要件(3か月平均の変動など)を満たす場合に変更。賞与には健康保険・厚生年金ともに保険料がかかります(標準賞与額)。


学習のポイント

  • 手続の窓口
    事業所の新規適用・資格取得届は日本年金機構へ提出。協会けんぽでも提出先は年金機構。
  • 保険料の負担
    事業主と被保険者で折半負担。事業主は源泉徴収・納付だけでなく負担者でもある。
  • 届出の経路
    資格・被扶養者の異動は事業主が取りまとめて届け出るのが原則。個人の直接届出は例外的。
  • 賞与への保険料
    賞与にも健康保険・厚生年金の保険料が賦課される(標準賞与額)。毎月の保険料は随時改定要件で変更。