難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(顧客価値の基本概念)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%以上)
- 重要度: ★★★☆☆(マーケティング基礎)
問題文
顧客価値に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
顧客が製品やサービスに期待する最も基本的な機能によってもたらされる価値を、機能的価値という。最も基本的な価値であるため、機能的価値が不十分であったり不明確であったりする製品やサービスが顧客に受け入れられることはない。
イ
実際に製品やサービスを購入し、使用感などを経験してみなければ分からない価値を経験価値という。経験価値によって製品やサービスを訴求するためには、すでに利用した顧客によるクチコミなどをなるべく発生させないようにしつつ、プロモーションを行うべきである。
ウ
製品やサービスの機能的価値は、「あって当たり前」の本質機能と、付加的な付随機能に分けることができる。このうち本質機能による機能的価値は、1つでも欠ければ競合する製品やサービスに比べて大幅に魅力が劣るため、自社の製品やサービスを差別化するために最も力を入れなければならない価値である。
エ
どのような基本的な機能を期待するかは顧客ごとに異なるのに対して、多くの顧客が製品やサービスに期待する感覚的価値は一般的に似通っているため、感覚的価値を訴求する製品やサービスは差別化が難しく、価格競争に陥りやすい。
オ
文脈価値とは、顧客が製品やサービスを利用した際の状況に依存する。すなわち、顧客による特定の製品やサービスの利用と、その際の周辺環境や情景あるいは誰と一緒に利用したか、などの状況とともに創り出される価値である。
出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:オ
解説
ア:×
機能的価値は製品やサービスの基本的な機能に基づく価値であるが、必ずしも「不十分なら受け入れられない」と断定できるものではない。顧客は他の価値(感覚的価値や文脈価値など)を重視する場合もある。
イ:×
経験価値は実際の使用体験から得られる価値であり、口コミはむしろ重要な訴求手段である。「口コミを発生させないようにする」というのは誤り。
ウ:×
本質機能は「あって当たり前」の要素であり、差別化の源泉にはなりにくい。差別化には付随機能や感覚的価値などが重要となる。
エ:×
感覚的価値(デザイン・ブランド・雰囲気など)は顧客ごとに異なり、差別化の重要な要素となる。記述は逆の説明になっている。
オ:〇
文脈価値は、利用する状況や環境、誰と一緒に利用するかなどによって創り出される価値である。顧客体験の重要な要素として近年注目されている。
学習のポイント
- 機能的価値
製品やサービスの基本的な機能に基づく価値。「あって当たり前」の要素であり、差別化には直結しにくい。 - 経験価値
実際に利用することで得られる価値。口コミやレビューが重要な情報源となる。 - 感覚的価値
デザイン・ブランド・雰囲気など感覚的要素に基づく価値。顧客ごとに異なり、差別化の重要な要素。 - 文脈価値
利用する状況や環境、誰と一緒に利用するかなどによって創り出される価値。体験型マーケティングで重視される。 - 試験対策のコツ
「差別化につながる価値は何か」「あって当たり前の価値は何か」を整理して覚えると混乱しにくい。