難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(購買意思決定モデルの基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%以上)
- 重要度: ★★★☆☆(マーケティング理論の基本)
問題文
消費者の購買意思決定において用いられる代替案の評価方法には、大きく分けて補償型と非補償型がある。これらの評価方法に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
耐久消費財などの複雑な製品の購買意思決定においては、非補償型の評価方法のみが用いられることが多い。
イ
非補償型の評価方法の1つに分離型がある。この方法では、代替製品の各属性に十分条件を設定し、いずれかの属性においてこの条件を満たした製品を選択する。
ウ
非補償型の評価方法の1つに連結型がある。この方法では、代替製品の各属性に必要条件を設定し、いずれかの属性においてこの条件を満たした製品を選択する。
エ
補償型とは、ある属性のマイナス面が他の属性のプラス面によって相殺(補償)され得る評価方法であり、最も簡略な方法であるため、日常の簡便な意思決定や衝動型購買などの場面でしばしば用いられる。
オ
補償型の評価方法は、ヒューリスティックスとも呼ばれる。
出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:イ
解説
ア:×
耐久消費財のような高関与製品では、補償型評価(総合的に比較し相殺する)が多く用いられる。非補償型「のみ」というのは誤り。
イ:〇
分離型(disjunctive rule)は、十分条件を設定し、いずれかの属性で基準を満たせば選択する方法。記述通りで正しい。
ウ:×
連結型(conjunctive rule)は、必要条件を設定し、すべての基準を満たす製品を選択する。記述は誤り。
エ:×
補償型は総合評価であり、簡略ではなくむしろ認知的負荷が高い。日常の簡便な意思決定では非補償型(ヒューリスティック)が多い。
オ:×
ヒューリスティックは非補償型の評価方法に近い。補償型を指すものではない。
学習のポイント
- 補償型評価
属性間で相殺が可能。ある属性の弱点を他の強みで補う。高関与製品や耐久消費財で多用。 - 非補償型評価
属性間で相殺ができない。基準を満たさなければ即脱落。意思決定を簡略化する。 - 分離型(disjunctive rule)
十分条件を設定し、いずれかの属性で基準を満たせば選択。 - 連結型(conjunctive rule)
必要条件を設定し、すべての基準を満たす製品を選択。 - 試験対策のコツ
「補償型=相殺可能」「非補償型=相殺不可」と整理し、分離型・連結型の違いを押さえる。