難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(共創・OIの基本)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%以上)
- 重要度: ★★★☆☆(イノベーション論の基礎)
問題文
製品の売り上げや人気が消費者間の影響力に大きく左右されるようになった結果、近年は企業と消費者が共同して製品開発を行う例が多く見られる。このことに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
オープン・イノベーションとは、一般に企業が企業外部のアイデアなどを取り入れながら価値を創造する取り組みであるが、企業が自社内のアイデアなどを積極的に外部に出すこともある。
イ
企業と消費者が共同で開発した製品は、新奇性や好意的評価、これらに基づく売り上げなどにおいて従来型の製品開発による製品を上回ることも多い。しかし、製品ライフサイクルの長さにおいて従来型の製品より短い場合が多く、このことが課題である。
ウ
企業と消費者が共同で製品開発を行う取り組みにおいては、そのための資金をクラウド・ソーシングによってオンライン上の多数の消費者から広く調達することも多い。
エ
消費者と共同するのではなく、伝統的な製品開発手法に基づき市場のニーズを重視して自社単独で製品を開発しようとする企業は、シーズ志向であるということができる。
出典:中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ア
解説
ア:〇
オープン・イノベーションは外部アイデアの取り込み(外部知の獲得)だけでなく、自社内の知や技術を外部へ出すアウトバウンド(ライセンス、スピンオフ等)も含む。
イ:×
共同開発が常にライフサイクル短縮を招くという一般化は不適切。成果は領域や設計により変動し、一概に短いとは言えない。
ウ:×
資金調達は「クラウドファンディング」。クラウドソーシングは不特定多数へ業務委託する仕組みであり、資金調達ではない。
エ:×
市場ニーズ重視は「ニーズ志向(マーケットプル)」。シーズ志向は技術起点(テクノロジープッシュ)であり、逆の概念。
学習のポイント
- オープン・イノベーションの二方向
外部知の取り込み(インバウンド)と自社知の外部展開(アウトバウンド)の両面を含む。 - 共創の成果の多様性
共同開発の効果は業界・設計・コミュニティ運営に依存し、ライフサイクル長短は一律に語れない。 - クラウドソーシングとクラウドファンディング
ソーシングは業務委託、ファンディングは資金調達。用語の混同に注意。 - ニーズ志向とシーズ志向
ニーズ志向は市場起点、シーズ志向は技術起点。方向性の違いを明確に押さえる。 - 試験対策のコツ
定義の本質(用語の正確さ)と概念の対比(ニーズ/シーズ、イン/アウト)で誤りを見抜く。