難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(ブランディングの基本)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%以上)
- 重要度: ★★★☆☆(マーケティング戦略の基礎)
問題文
ブランディングに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
BtoB マーケティングでは、BtoC マーケティングに比べて特定少数の顧客を対象とすることが多いため、ブランディングは不要である。
イ
あるブランドについて、これまで蓄積されたブランド資産を捨てて資産ゼロからスタートするブランド強化戦略では、既存ブランドを全く新しいブランドへと置き換えるため、ブランド管理の中でもリスクの高い戦略である。
ウ
ブランディングが成功しているブランドは、他社ブランドとの機能の違いを知覚させる識別機能によって、コモディティ化が進む市場において自社ブランドが選ばれる理由を与えている。
エ
ブランディングにおいては、製品やサービスを消費者の使用シーンと関連づけ、消費者に夢や期待、イメージを抱かせることによって、マインド・シェアを獲得することが重要である。
オ
ブランドの価値構造において、基本価値、便宜価値、感覚価値は、ブランドとしての基礎となる価値であり、観念価値は当該ブランドと消費者との間に唯一無二の存在としての絆を形成する価値である。
出典: 中小企業診断協会|2023年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:エ
解説
ア:×
BtoB でもブランドは信頼・安心・差別化の源泉となる。購買意思決定においてブランディングは重要であり、「不要」とするのは誤り。
イ:×
ブランド資産をゼロから再構築する戦略は「リブランディング」や「ブランド再構築」と呼ばれるが、必ずしも既存ブランドを完全に捨てるわけではない。記述は誇張的で不正確。
ウ:×
識別機能はブランドの基本的役割だが、差別化の源泉は機能的違いだけではなく、情緒的価値やイメージも含まれる。記述は限定的で不十分。
エ:〇
ブランディングは製品・サービスを使用シーンやイメージと結びつけ、夢や期待を抱かせることでマインド・シェアを獲得することが重要。適切な記述。
オ:×
ブランド価値構造の分類は多様だが、観念価値を「唯一無二の絆」と断定するのは不正確。一般的な定義とは異なる。
学習のポイント
- BtoBにおけるブランドの役割
信頼性・安心感・長期的関係構築に寄与し、購買意思決定に大きな影響を与える。 - ブランド再構築のリスク
既存資産を捨てる戦略は高リスク。多くは既存資産を活かしつつ刷新する。 - ブランドの識別機能と差別化
機能的差異だけでなく、情緒的価値やイメージが差別化の鍵となる。 - マインド・シェアの獲得
使用シーンやイメージと結びつけ、消費者の心に占有的な位置を築くことが重要。 - ブランド価値構造の理解
基本価値・便益価値・感覚価値・象徴価値など多様な分類があり、消費者との関係性を多面的に捉える必要がある。