難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(起業ロジックの基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(不確実性下の意思決定)
問題文
次の文章の空欄に入る記述として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。
エフェクチュエーションは、S.D.サラスバシーが経験豊富な起業家の行動から抽出した実践的なロジックである。
エフェクチュエーションは、________である。
〔解答群〕
ア
成功と失敗の確率が事前に分かっている場合に有効
イ
特定の事業機会における競合分析や市場分析を行う場合に有効
ウ
どのような環境に注目し、どのような環境を無視すべきかが不明瞭な場合に有効
エ
目的からさかのぼって手段を考えることができる場合に有効
オ
目的の選好順位が明確な場合に有効
出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:ウ
解説
ア:×
成功・失敗の確率が既知の状況は「リスク」領域であり、期待値計算や因果(コーザル)アプローチが有効。エフェクチュエーションは確率が不明な「不確実性」下で機能する。
イ:×
特定機会の競合・市場分析に基づく計画はコーザルの典型。エフェクチュエーションは分析よりも、手持ち資源から出発し関係者と機会を共創する。
ウ:〇
何に注目すべきか自体が不明瞭な高不確実環境で、手持ちの手段から出発し可変の目的を共創するエフェクチュエーションが有効。
エ:×
「目的→手段」の逆算はコーザルの考え方。エフェクチュエーションは「手段→可能な目的」。
オ:×
目的の選好が明確なら、計画型(コーザル)で十分。エフェクチュエーションは目的が流動的な状況で強みを発揮する。
学習のポイント
- エフェクチュエーションの概要
起業家が不確実性下で用いる「手段起点・目的可変」のロジック。手持ち資源と関係者のコミットメントから機会を共創する。 - 適用場面
成否確率や注目すべき環境要因が不明瞭な状況(ナイト的不確実性)で有効。既知リスクや明確な目的がある場面はコーザルが適する。 - コーザルとの対比
コーザル=目的から逆算し分析・計画で実行。エフェクチュエーション=手段から出発し、行動と関係構築で目的を形成。 - 主要原則
負けられる範囲(Affordable Loss)、手中の鳥(Bird-in-Hand)、クレイジーキルト(Crazy Quilt)、レモネード(Lemonade)、操縦士(Pilot-in-the-Plane)。 - 試験対策のコツ
「不確実性」「手段起点」「共創」「許容損失」というキーワードが出たらエフェクチュエーション。「目的起点」「分析・計画」はコーザル。