過去問解説(企業経営理論)_2022年(令和4年) 第13問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(組織形態の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(組織設計の定番論点)

問題文

経営組織の形態と構造に関する記述として、最も適切なものはどれか。


事業部制組織では事業部ごとに製品-市場分野が異なるので、事業部を共通の基準で評価することが困難なため、トップマネジメントの調整負担が職能部門別組織に比べて大きくなる。
職能部門別組織は、範囲の経済の追求に適している。
トップマネジメント層の下に、生産、販売などの部門を配置する組織形態が職能部門別組織であり、各職能部門はプロフィットセンターとして管理される必要がある。
マトリックス組織では、部下が複数の上司の指示を仰ぐため、機能マネジャーと事業マネジャーの権限は重複させておかなければならない。
命令の一元化の原則を貫徹する組織形態がライン組織であり、責任と権限が包括的に行使される。

出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:オ


解説

ア:×
 事業部制は事業部を利益等の共通指標で評価しやすく、権限委譲によりトップの調整負担を軽減する狙いがある。

イ:×
 職能部門別組織は専門化により規模の経済を追求するのに適し、範囲の経済(多角化領域の資源共有)は事業部制やマトリックスで実現しやすい。

ウ:×
 職能部門は通常コストセンターとして管理される。プロフィットセンターは事業部など市場責任を負う単位に設定される。

エ:×
 マトリックスでは権限の重複を放置せず、機能と事業の役割・決定権限を明確に設計することが重要。

オ:〇
 ライン組織は命令の一元化(単一上司制)を原則とし、ライン上で包括的な権限と責任が行使される。


学習のポイント

  • 職能部門別組織
    専門化・標準化で規模の経済を追求。職能はコストセンター運用が基本。
  • 事業部制組織
    製品・市場別に責任と権限を委譲し、利益責任を明確化。トップ負担の軽減と環境変化への機動性。
  • マトリックス組織
    機能×事業の二元軸。権限・役割の明確化とコンフリクトの管理が設計の鍵。
  • ライン組織
    単一上司制で命令系統を明確化。権限と責任がライン上で包括的に行使される。
  • プロフィットセンターの設定
    市場成果を直接担う単位(事業部等)に設定し、職能は支援・コスト管理が中心。