過去問解説(企業経営理論)_2022年(令和4年) 第14問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(組織論の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(バーナード理論の定番)

問題文

C.I.バーナードは組織における個人の権威の受容について、無関心圏(zone of indifference)が重要な役割を果たすとしている。無関心圏に関する記述として、最も適切なものはどれか。


個人にとって受容可能な命令が継続的に発せられると、次第に無関心圏の範囲が狭くなっていく傾向がある。
個人にとって無関心圏にある職務は無視され、遂行される可能性が低くなるので、無関心圏をいかに小さくするかが組織の存続にとって重要になる。
個人の無関心圏に属する命令は、権威の有無を問われることなく受容される傾向がある。
無関心圏にある職務に対しては、個人のコミットメントは低くなるから、無関心圏の存在は組織の存続にとって負の影響を与える。
無関心圏にある職務を個人に遂行してもらうためには、個人の貢献を大きく上回る誘因を提供する必要がある。

出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
 受容可能な命令が続けば、むしろ無関心圏は広がる傾向にある。狭くなるというのは誤り。

イ:×
 無関心圏にある命令は抵抗なく受容されるため、無関心圏を小さくする必要はない。

ウ:〇
 無関心圏に属する命令は、権威の有無を問わず受容されやすい。バーナードが示した権威受容の重要概念。

エ:×
 無関心圏は組織の円滑な運営を支えるものであり、負の影響を与えるものではない。

オ:×
 無関心圏にある命令は特別な誘因を与えなくても受容される。大きな誘因は不要。


学習のポイント

  • 無関心圏(zone of indifference)
    個人が命令の内容を深く吟味せず、当然のこととして受容する範囲。
  • 権威の受容条件(バーナード)
    命令が理解可能であること、組織目的と矛盾しないこと、個人の利益と両立すること、遂行可能であること。
  • 無関心圏の意義
    命令が無条件に受容される範囲が広いほど、組織は円滑に機能する。
  • 試験対策のコツ
    「無関心圏=抵抗なく受容される範囲」「広いほど組織に有利」というキーワードを押さえる。