難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★★☆☆☆(労災補償の基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(労務管理の必須知識)
問題文
労働基準法における災害補償又は労働者災害補償保険法の定めに関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
業務上負傷し労働者災害補償保険法に基づく休業補償給付を受ける労働者に対しては、使用者は、休業の初日から労働基準法第76条の規定による休業補償を行う必要がない。
イ
労働基準法第75条第2項において厚生労働省令で定めることとされた業務上の疾病には、細菌、ウイルス等の病原体による疾病の一つとして、「患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾患」がある。
ウ
労働者が、通勤の経路を逸脱している間に負傷した場合でも、当該逸脱が日用品の購入のために行う最小限度のものであれば、通勤災害として労働者災害補償保険法に基づく保険給付が行われる。
エ
労働者災害補償保険法に基づく障害補償給付に関する障害等級は、重い方から第1級から第14級まで定められており、障害等級第1級から第7級までに該当する場合には障害補償一時金が支給され、障害等級第8級から第14級に該当する場合には障害補償年金が支給される。
出典: 中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:イ
解説
ア:×
業務上の負傷による休業では、労災保険からの給付が始まるまでの一定期間、使用者が休業補償を行う必要がある。初日から免除されるわけではない。
イ:〇
業務上疾病の一つとして、病原体を取り扱う業務による伝染性疾患が定められている。医療従事者や介護従事者などが該当し、感染症リスクに対する補償が制度上整備されている。
ウ:×
通勤災害では、経路の逸脱や中断がある場合は原則として対象外。ただし日用品の購入など一定の私的行為は例外的に認められるが、その行為中の災害は対象外であり、合理的経路に復帰した後から通勤災害として認められる。
エ:×
障害補償給付は、重度の障害(1級~7級)は年金、軽度の障害(8級~14級)は一時金として支給される。設問は逆に記載されている。
学習のポイント
- 休業補償の仕組み
労災保険の給付が始まるまでの間は、使用者が休業補償を行う必要がある。 - 業務上疾病の範囲
化学物質や粉じん、放射線、病原体などによる疾病が含まれる。特に医療・介護従事者の感染症リスクも対象。 - 通勤災害の取扱い
経路の逸脱・中断は原則対象外。ただし日用品購入など一定の行為は例外的に認められるが、その行為中は補償対象外。 - 障害補償給付の区分
・1~7級:年金支給
・8~14級:一時金支給 - 試験対策のコツ
「業務上疾病の範囲」「通勤災害の例外」「障害補償給付の区分」を正しく整理して覚えることが重要。