難易度・正答率・重要度
- 難易度: ★☆☆☆☆(流通チャネルの基礎)
- 正答率: ★★★★☆(正答率75%前後)
- 重要度: ★★★☆☆(チャネル設計の定番)
問題文
流通チャネルの構造に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
流通チャネルの開閉基準とは、メーカーが取引をする各流通業者にどれだけの数の商品を卸すかの尺度であり、当該地域におけるメーカーの出荷総額に占める卸・小売の販売シェアを意味する。
イ
流通チャネルの広狭基準とは、メーカーが特定地域内においてどれだけの数の小売企業を通じて自社の商品を販売するかの尺度であり、開放的流通、選択的流通、排他的流通に分けるために用いられる。
ウ
流通チャネルの長短基準とは、物流ルートの時間的・物理的長さに関する尺度であり、輸送と保管の機能を含めたロジスティクス全体の物流効率を考慮する際に用いられる。
エ
流通チャネルの付加価値基準とは、卸段階と小売段階においてどれだけの付加価値が生み出されているかに関する尺度であり、卸段階と小売段階の販売額の比率として算出される。
出典:中小企業診断協会|2022年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)
解答
正解:イ
解説
ア:×
開閉基準は、チャネル構成員の「加入・脱退」を判断するための基準であり、取引数量や販売シェアそのものを指す尺度ではない。運営方針やパフォーマンス評価に基づく選抜・解約のポリシーが中心。
イ:〇
広狭基準は、特定地域で採用する販売拠点(小売企業)の数に関する尺度で、開放的流通(多数)、選択的流通(限定)、排他的流通(独占)的な区分に用いられるため、記述は適切。
ウ:×
長短基準は、チャネルの段階数(卸の有無・階層の数)という構造的な「長さ」を示す尺度であり、輸送時間や物理距離といったロジスティクスの長さを指すものではない。
エ:×
付加価値基準は、各段階で付加された価値(マージンや機能の貢献)に着目する考え方で、単純な販売額の比率で算出するものではない。機能提供の度合いと価値創出の評価が要点。
学習のポイント
- 広狭基準の区分
開放的・選択的・排他的の3類型で販売拠点数を戦略的に設計する。 - 長短基準の意味
物流距離ではなくチャネル階層の「段数」を指す。直販(短い)か多段(長い)かの違い。 - 開閉基準の運用
加入・脱退を管理する方針。選抜基準や評価基準を明確にする。 - 付加価値評価
各段階の機能(品揃え、情報提供、リスク負担など)とマージンで価値創出を捉える。