過去問解説(経営法務)_2019年(R1年) 第4問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★★(毎年出題される基本論点。制度の根幹。)

問題文

Aは、X株式会社の代表取締役であったが、昨年(2018年)12月30日に死亡した。Aには配偶者B、嫡出子C、D、Eがいる(下図参照)。

A(死亡)

Aの遺産の額は1億4,000万円であり、配偶者Bには特別受益として400万円の生前贈与、子Eには特別受益として200万円の生前贈与があり、子Dには寄与分が500万円あった。この場合の相続分(取得額)に関する記述として、最も適切なものはどれか。

なお、相続人の中で、相続欠格者、相続廃除者、相続放棄者はおらず、また、遺産分割協議は成立していない。


Bの相続分(取得額)は6,650万円となる。
Cの相続分(取得額)は3,500万円となる。
Dの相続分(取得額)は2,350万円となる。
Eの相続分(取得額)は2,550万円となる。

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ア
Bの相続分(取得額)は 6,650 万円となる。


解説

【前提条件】

  • 相続人:配偶者B、子C・D・E(計4人)
  • 遺産総額:1億4,000万円
  • 特別受益:B=400万円、E=200万円
  • 寄与分:D=500万円
  • 相続放棄・欠格・廃除なし

【計算手順】

  1. 特別受益を加算し、寄与分を控除した「みなし相続財産」
     → 1億4,000万 + 400万(B)+ 200万(E)− 500万(D)= 1億4,100万円
  2. 法定相続割合(配偶者1/2、子3人で残り1/2を等分)
     → B:7,050万、C・D・E:各2,350万
  3. 特別受益・寄与分を反映
     - B:7,050万 − 400万 = 6,650万
     - C:2,350万(変動なし)
     - D:2,350万 + 500万 = 2,850万
     - E:2,350万 − 200万 = 2,150万

【選択肢検証】

  • ア:〇(正しい)
  • イ:×(Cは2,350万)
  • ウ:×(Dは2,850万)
  • エ:×(Eは2,150万)

学習のポイント

  • 特別受益は相続分から控除、寄与分は加算される。
  • みなし相続財産で法定相続割合を算出し、調整する。
  • 相続人の構成(配偶者+子)により分配比率が変わる。
  • 遺産分割協議が未成立でも、法定相続分に基づく計算は可能。