難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(複数知識の統合や、誤答肢の吟味が必要。)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
- 重要度:★★★★☆(頻出論点。制度理解に直結。)
問題文
株式と社債の比較に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
株式:会社が解散して清算する場合、株主は、通常の債権者、社債権者等の債権者に劣後し、これら債権者の債務を弁済した後に残余財産があれば、その分配を受ける。
社債:会社が解散して清算する場合、社債権者は、通常の債権者に常に優先し、これら債権者の債務の弁済前に、弁済を受けることができる。
社債:会社が解散して清算する場合、社債権者は、通常の債権者に常に優先し、これら債権者の債務の弁済前に、弁済を受けることができる。
イ
株式:株券を発行する旨の定款の定めのある公開会社は、当該株式に係る株券を発行しなければならない。
社債:募集事項として社債券を発行する旨を定めている場合、会社は当該社債に係る社債券を発行しなければならない。
社債:募集事項として社債券を発行する旨を定めている場合、会社は当該社債に係る社債券を発行しなければならない。
ウ
株式:株式の対価として払込み又は給付された財産は、全て資本金の額に組み入れられる。
社債:社債の対価として払い込まれた金銭は、全て資本金の額に組み入れられる。
社債:社債の対価として払い込まれた金銭は、全て資本金の額に組み入れられる。
エ
株式:株式引受人の募集は、有利発行ではない場合であっても、公開会社・非公開会社を問わず、株主総会の決議事項である。
社債:社債の引受人の募集は、公開会社・非公開会社を問わず、株主総会の決議事項ではない。
社債:社債の引受人の募集は、公開会社・非公開会社を問わず、株主総会の決議事項ではない。
出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:イ
株式:株券を発行する旨の定款の定めのある公開会社は、当該株式に係る株券を発行しなければならない。
社債:募集事項として社債券を発行する旨を定めている場合、会社は当該社債に係る社債券を発行しなければならない。
解説
ア:×
株主は会社の残余財産に対して劣後するが、社債権者は「通常の債権者」と同順位であり、常に優先するわけではない。社債は債権の一種であり、他の債権者と同様に扱われる。記述は誤り。
イ:〇
株券発行会社(定款で定めた公開会社)は、株券を発行する義務がある。社債も同様に、社債券発行を定めた場合は発行義務が生じる。正しい記述。
ウ:×
株式の払込金は、原則として資本金に組み入れるが、一定の範囲で資本準備金に振り分けることも可能。社債の払込金は資本金ではなく負債として処理される。記述は誤り。
エ:×
株式の募集は、有利発行でない限り、取締役会決議で足りる(非公開会社では株主総会決議が必要な場合もある)。社債の募集は、原則として取締役会決議で行われ、株主総会の決議事項ではない。記述は誤り。
学習のポイント
- 株式は資本、社債は負債。性質が異なるため、発行・処理・権利関係も異なる。
- 株券・社債券の発行は、定款や募集事項に基づき義務となる。
- 資本金への組入れは、株式では一部調整可能。社債は資本金に含まれない。
- 株式の募集は、有利発行か否かで決議機関が変わる。社債は取締役会決議が原則。