過去問解説(経営法務)_2019年(R1年) 第10問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(制度横断の理解が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(意匠・商標・不競法の横断理解が問われる。)

問題文

物の形状を保護する意匠法、商標法、不正競争防止法に関する記述として、最も適切なものはどれか。


自動二輪車の形状が意匠登録された場合、その意匠権は同じ形状のチョコレートにも及ぶ。
自動二輪車の形状が不正競争防止法の商品等表示混同惹起行為として保護されるには、それが当該メーカーの商品等表示として需要者の間に広く認識されている必要がある。
自動二輪車の形状について意匠登録出願をした場合、所定期間内であれば立体商標の商標登録出願に出願変更することができる。
自動二輪車の形状は商品そのものの形状なので、立体商標として登録されることはない。

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:イ
自動二輪車の形状が不正競争防止法の商品等表示混同惹起行為として保護されるには、それが当該メーカーの商品等表示として需要者の間に広く認識されている必要がある。


解説

ア:×
意匠権は、登録された物品の用途・形状に対して付与されるものであり、異なる用途(例:チョコレート)には及びません。物品の範囲を超えて権利が拡張されることはありません。

イ:〇
不正競争防止法では、商品の形状が「商品等表示」として保護されるためには、需要者の間で広く認識されていることが必要です。これは識別力の獲得と混同防止の観点から重要です。

ウ:×
意匠登録出願と商標登録出願は、制度上の目的・審査基準が異なるため、出願変更は認められていません。立体商標として新たに出願する必要があります。

エ:×
商品そのものの形状であっても、識別力が認められれば立体商標として登録されることがあります。実際に自動車や容器などの形状が商標登録された例も存在します。


学習のポイント

  • 意匠権は物品ごとに限定され、用途の異なる物品には及ばない。
  • 不正競争防止法では、形状が「商品等表示」として認識されていることが保護要件。
  • 意匠出願と商標出願は制度が異なり、出願変更は不可。
  • 商品そのものの形状でも、識別力があれば立体商標として登録可能。