過去問解説(経営法務)_2019年(R1年) 第11問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(制度ごとの保護期間の違いを理解しているかが問われる。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(著作権の基本制度として頻出。)

問題文

著作権の保護期間に関する記述として、最も適切なものはどれか。
なお、各記述の自然人の死亡年は、それぞれの著作物の公表年より遅いものとする。


2000年8月4日に公表された、映画の著作権の存続期間は、2090年12月31日までである。
2000年8月4日に公表された、株式会社の従業員が職務著作として制作した同社マスコットキャラクターの著作権の存続期間は、2070年12月31日までである。
2000年8月4日に公表された、写真家(自然人)に帰属する写真の著作権の存続期間は、2050年12月31日までである。
2000年8月4日に公表された、マンガ家(自然人)のアシスタントが職務著作として描いた絵の著作権の存続期間は、2070年12月31日までである。

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:イ
2000年8月4日に公表された、株式会社の従業員が職務著作として制作した同社マスコットキャラクターの著作権の存続期間は、2070年12月31日までである。


解説

ア:×
映画の著作物は、法人等が著作者となる場合、原則として公表後70年で保護期間が終了します。2090年までの保護は過剰であり、誤りです。

イ:〇
職務著作として法人が著作者となる場合、著作権の保護期間は公表後70年です。2000年に公表された場合、2070年末までが正しい保護期間です。

ウ:×
自然人が著作者である場合、保護期間は原則として死後70年です。写真家が2000年に公表したとしても、死亡年がそれより後であれば、2050年で終了することはありません。

エ:×
職務著作で法人が著作者となる場合、保護期間は公表後70年です。アシスタントが自然人であっても、職務著作として法人が著作者であるならば、2070年は正しいように見えますが、記述が曖昧で誤解を招くため不適切です。


学習のポイント

  • 自然人が著作者の場合:死後70年まで保護。
  • 法人が著作者となる職務著作の場合:公表後70年まで保護。
  • 映画の著作物も法人著作であれば公表後70年。
  • 保護期間の起算点は、著作者の属性(自然人か法人か)によって異なる。