過去問解説(経営法務)_2019年(R1年) 第13問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度:★★★☆☆(制度の構造理解と条文趣旨の把握が必要。)
  • 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度。)
  • 重要度:★★★★☆(特許制度の基本構造として頻出。)

問題文

特許権に関する記述として、最も適切なものはどれか。


他人の特許権又は専用実施権を侵害しても、その侵害の行為について過失があったものと推定されない。
特許権が共有に係るときは、各共有者は、契約で別段の定めをした場合を除き、他の共有者の同意を得なければ、特許発明の実施をすることができない。
特許権について専用実施権を設定した場合には、特許権者は専用実施権者が専有する範囲について業として特許発明の実施をすることができない。
特許権の存続期間は、登録の日から20年をもって終了する。

出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)


解答

正解:ウ
特許権について専用実施権を設定した場合には、特許権者は専用実施権者が専有する範囲について業として特許発明の実施をすることができない。


解説

ア:×
特許権や専用実施権の侵害に関しては、一定の条件下で過失が推定される制度が存在します。したがって「推定されない」とする記述は誤りです。

イ:×
特許権が共有されている場合、契約で別段の定めがない限り、各共有者は単独で特許発明を実施することができます。他の共有者の同意は不要です。記述は逆で誤りです。

ウ:〇
専用実施権は、特許権者が特定の範囲について排他的に実施権を与える制度です。設定された範囲については、特許権者自身も実施できなくなります。正しい記述です。

エ:×
特許権の存続期間は、出願日から20年です。登録日から起算するわけではありません。記述は誤りです。


学習のポイント

  • 専用実施権は排他的な権利であり、特許権者自身もその範囲では実施不可。
  • 特許権の共有者は、原則として単独で実施可能。契約で制限することは可能。
  • 特許権の存続期間は出願日から起算される。登録日ではない。
  • 過失の推定は、侵害訴訟における立証負担の軽減を目的とした制度。