難易度・正答率・重要度
- 難易度:★★★☆☆(遺言の方式と効力に関する理解が必要)
- 正答率:★★★☆☆(正答率50〜70%。標準的な難易度)
- 重要度:★★★★☆(民法の相続分野として頻出)
問題文
遺言に関する記述として、最も適切なものはどれか。
ア
遺言者が、遺言において、「この遺言を撤回しない」と意思表示しても、遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言を撤回することができる。
イ
遺言は、20歳に達しなければできない。
ウ
検認を経ないで、家庭裁判所外において開封された自筆証書遺言は、検認を経なかったことをもって無効となる。
エ
自筆証書によって遺言をする場合、日付及び氏名を自署し、これに印を押せば、全文はパソコンで作成することができる。
出典:中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|経営法務(PDF)
解答
正解:ア
遺言者が、遺言において、「この遺言を撤回しない」と意思表示しても、遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言を撤回することができる。
解説
ア:〇
遺言は、遺言者の最終意思を尊重する制度であるため、遺言者はいつでも遺言を撤回することができる。たとえ遺言書に「撤回しない」と記載していても、その拘束力はなく、後日の撤回は有効である。
イ:×
遺言能力は満15歳以上で認められる。20歳に達していなければ遺言できないというのは誤りである。
ウ:×
自筆証書遺言は、検認を経ずに開封された場合でも、遺言自体が無効になるわけではない。検認は形式確認の手続であり、遺言の効力とは直接関係しない。
エ:×
自筆証書遺言は、全文を自署する必要がある。日付・氏名・押印のみ自署すればよいというのは誤りであり、パソコンで作成した全文は無効となる。ただし、法改正により一部例外が認められるが、本問では旧来の原則に基づく。
学習のポイント
- 遺言はいつでも撤回可能であり、撤回しない旨の記載は拘束力を持たない。
- 遺言能力は15歳以上で認められる。成人年齢とは無関係である。
- 検認は遺言の有効性を左右するものではなく、家庭裁判所の形式確認手続である。
- 自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自署する必要がある。パソコン作成は原則として認められない。