過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第1問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(基礎理論の整理)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(企業戦略の基本理解)

問題文

多角化して複数の事業を営む企業の企業ドメインと事業ドメインの決定に関する記述として、最も適切なものはどれか。


企業ドメインの決定は、個々の事業の定義を足し合わせるのではなく、外部の利害関係者との間のさまざまな相互作用の範囲を反映し、事業の定義を見直す契機となる。
企業ドメインの決定は、新規事業進出分野の中心となる顧客セグメント選択の判断に影響し、競争戦略策定の出発点として差別化の基本方針を提供する。
事業ドメインの決定は、将来手がける事業をどう定義するかの決定であり、日常のオペレーションに直接関連し、全社戦略策定の第一歩として競争戦略に結び付ける役割を果たす。
事業ドメインの決定は、多角化の広がりの程度を決め、部門横断的な活動や製品・事業分野との関連性とともに、将来の企業のあるべき姿や経営理念を包含している存続領域を示す。
事業ドメインの決定は、特定市場での競争戦略に影響を受け、将来の事業領域の範囲をどう定義するかについて、企業が自らの相互作用の対象として選択した事業ポートフォリオの決定である。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
企業ドメインは、単なる事業の集合ではなく、外部利害関係者との相互作用を含む広い概念。これにより事業定義の見直しや再構築の契機となる。

イ:×
顧客セグメントの選択や差別化方針は事業ドメインや競争戦略の範疇であり、企業ドメインの直接的な定義ではない。

ウ:×
事業ドメインは日常オペレーションに直結するものではなく、むしろ事業戦略の方向性を示す。全社戦略の第一歩は企業ドメインの設定。

エ:×
将来の企業像や経営理念を包含するのは企業ドメインの役割であり、事業ドメインの説明としては不適切。

オ:×
事業ポートフォリオの決定は企業ドメインに関わる。事業ドメインは特定市場における事業の定義に焦点を当てる。


学習のポイント

  • 企業ドメインと事業ドメインの違い:
    ・企業ドメイン=企業全体の存続領域。経営理念や将来像を含む。
    ・事業ドメイン=特定事業の範囲や定義。市場・顧客・技術の観点で規定。
  • 試験対策のコツ:
    「企業ドメイン=全社的・理念的」「事業ドメイン=個別事業・市場的」と整理して覚えると混乱しにくい。