過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第3問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(アンゾフの意思決定分類)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(戦略論の基礎用語)

問題文

次の文中の空欄A~Dに入る用語の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。

アンゾフは、環境変化が激しく、企業が決定すべき選択肢の評価基準も与えられていない高度に不確実な状況を、Aという概念で捉え、Aの状況下において、企業が取り組むべき問題を確定させ、その問題解決の方向性を探求することを経営戦略論の固有の課題と示した。
その上で、企業が行っている意思決定を、B的意思決定、C的意思決定、そしてD的意思決定に分類した。B的意思決定は、現行の業務の収益性の最大化を目的とするもの、C的意思決定は、最大の業績が生み出せるように企業の資源を組織化するもの、D的意思決定は、将来どのような業種に進出すべきかなどに関するものである。

〔解答群〕

A:非対称情報  B:業務  C:組織  D:戦略
A:非対称情報  B:日常  C:管理  D:計画
A:非対称情報  B:日常  C:組織  D:長期
A:部分的無知  B:業務  C:管理  D:戦略
A:部分的無知  B:業務  C:戦略  D:長期

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:×
「非対称情報」は情報経済学の用語で、アンゾフが高度不確実性を表す概念として用いたのは「部分的無知」。またCは「管理」が妥当。

イ:×
Bの「日常」は用語として不正確。アンゾフの分類ではBは「業務的意思決定」、Cは「管理的意思決定」、Dは「戦略的意思決定」。

ウ:×
Dに「長期」は不適切。アンゾフは将来の進出業種などに関する「戦略的意思決定」と定義する。

エ:〇
A=部分的無知、B=業務、C=管理、D=戦略の組み合わせが本文定義と整合。

オ:×
Cに「戦略」を置くのは誤り。戦略はDに対応し、Cは「管理的意思決定」。


学習のポイント

  • アンゾフの三層意思決定:
    ・業務的意思決定=現行業務の収益最大化。
    ・管理的意思決定=資源の組織化・配分。
    ・戦略的意思決定=事業領域や将来進出の方向。
  • 不確実性の捉え方:
    「部分的無知」は、評価基準も定まらない高不確実状況。まず問題の確定と解決方向の探索が戦略論の出発点。
  • 試験対策のコツ:
    用語の取り違えに注意。「非対称情報」は別領域の概念、「長期」は戦略とイコールではない。アンゾフの原語対応をセットで覚える。