過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第10問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(社内ベンチャーの基本理解)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(新規事業開発の典型論点)

問題文

社内ベンチャーに関する記述として、最も適切なものはどれか。


社内ベンチャーは、新規事業に関する「学習装置」としての機能は果たせないが、新規事業の推進と運営に必要な情報的資源を獲得して蓄積し、新規事業に挑戦する心理的エネルギーを生み出す。
社内ベンチャーは、新規事業の推進と運営について、本業や既存事業からの適切な支援を得て、本業や既存事業の思考様式の枠組みの中で事業を推進するための組織である。
社内ベンチャーは、小さな独立企業のような運営を目的とするが、社内の他部門の支援を得るために自律性よりも社内の意思決定プロセスとの整合性を重視する。
社内ベンチャーは、プロジェクトチームやタスクフォースとして編成されることは少ないが、その運営ではハンズオフ型のベンチャーキャピタルに比べ、親企業の関与の程度は低い。
社内ベンチャーは、本業や既存事業の思考様式にとらわれない発想を生み出し、本業や既存事業と異なった事業への進出や根本的に異質な製品開発を目的として設置されることが多い。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:オ


解説

ア:×
社内ベンチャーは新規事業の「学習装置」としての役割を持つ。挑戦の心理的エネルギーだけでなく、知識・ノウハウの蓄積も重要。

イ:×
本業や既存事業の枠組みにとらわれないことが社内ベンチャーの本質。既存の思考様式に従うのでは新規性が発揮できない。

ウ:×
社内ベンチャーは自律性を重視し、小さな独立企業のように運営される。意思決定プロセスとの整合性を優先するのはむしろ既存事業。

エ:×
社内ベンチャーはプロジェクトチームやタスクフォースとして編成されることも多い。親企業の関与はむしろ強く、ベンチャーキャピタルより低いとは言えない。

オ:〇
社内ベンチャーは既存事業の枠を超えた発想を促し、異質な事業や製品開発を目的に設置される。新規事業開発の推進力としての役割を担う。


学習のポイント

  • 社内ベンチャーの特徴:
    ・既存事業の制約を超えた新規事業開発のための仕組み。
    ・小さな独立企業のように自律的に運営される。
    ・新しい発想や異質な事業展開を目的とする。
  • 親企業との関係:
    ・資金・人材・情報などの支援を受けつつも、既存の思考様式に縛られない。
    ・親企業の戦略的意図とベンチャーの自律性のバランスが重要。
  • 試験対策のコツ:
    「社内ベンチャー=既存事業の枠を超える挑戦」と覚える。
    既存事業の延長線上ではなく、新しい市場や製品を狙う仕組みである点を押さえる。