過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第15問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(組織行動論の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(部門間調整の理解)

問題文

コンフリクトは、意思決定の標準メカニズムの機能不全を意味する。組織における部門間コンフリクトの原因、それへの対応に関する記述として、最も適切なものはどれか。


組織内のスラックが豊富に存在すると、部門間の目標の独立性が減少し、部門間コンフリクトが発生しやすくなる。
組織内の部門間コンフリクトは、共同意思決定の必要性が高ければ高いほど、また予算など限られた資源への依存度が大きければ大きいほど、発生する可能性が高まる。
命令の一元性が確保されていると、部門間の目標や知覚の分化が進むため、部門間コンフリクトが起きる可能性は低下する。
目標が共有されている部門間でコンフリクトが生じた場合、その基準を満たす解決策を探索するために、政治的工作やバーゲニングが使用される可能性が高くなる。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:×
スラック(余裕資源)が豊富であれば、むしろ資源配分の余裕が生まれ、コンフリクトは緩和されやすい。

イ:〇
部門間コンフリクトは「共同意思決定の必要性が高い」「限られた資源を奪い合う」状況で発生しやすい。典型的には予算配分や人員配置など。

ウ:×
命令の一元性が確保されても、部門ごとの目標や知覚の分化は進むため、コンフリクトは依然として発生し得る。

エ:×
目標が共有されている場合は、政治的工作やバーゲニングではなく、協調的な問題解決が促進されやすい。


学習のポイント

  • コンフリクトの原因:
    ・資源の希少性(予算・人員・設備の奪い合い)。
    ・共同意思決定の必要性が高い状況。
    ・部門ごとの目標や評価基準の違い。
  • コンフリクトの対応:
    ・資源配分ルールの明確化。
    ・調整メカニズム(会議・調整役の設置)。
    ・協調的問題解決アプローチ。
  • 試験対策のコツ:
    「資源が限られる+共同意思決定が必要=コンフリクト増大」と覚える。
    スラックがあると緩和、共有目標があると協調的解決が促進される。