過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第17問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(状況対応理論の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(主要理論の整理)

解答

正解:ウ


解説

ア:×
フィードラーによれば、課題志向型は状況が「非常に好ましい/非常に好ましくない」時に有効、人間関係志向型は「中程度」の時に有効とされる。記述のように両極状況で関係志向が有効とは言えない。

イ:×
SL理論では成熟度が高い場合は「委任(Delegating)」が適切。参加型(Participating)は成熟度が中高水準のときに適合する。

ウ:〇
パス・ゴール理論の達成志向型は、構造化されていないタスク状況で「努力→高業績」の期待を高め、挑戦的目標で動機づける。

エ:×
LMXの段階(他人的→知人的→成熟)は概ね妥当だが、成熟しても公式的・取引的側面が「失われる」とは言い過ぎで、関係の質が高まるだけで役割期待や交換は残る。


学習のポイント

  • フィードラーのコンティンジェンシーモデル
    ・課題志向型は「非常に好ましい/非常に好ましくない」状況で有効。
    ・関係志向型は「中程度の状況」で有効。
  • SL理論(ハーシー&ブランチャード)
    ・フォロワーの成熟度に応じてリーダー行動を調整。
    ・M低=指示型、M中=説得型、M中高=参加型、M高=委任型。
  • パス・ゴール理論(ハウス)
    ・リーダーは部下の「努力→成果」の期待を高める役割。
    ・達成志向型は「タスクが曖昧・構造化されていない」状況で効果的。
  • LMX理論(リーダー・メンバー交換理論)
    ・リーダーと部下一人ひとりの関係の質に注目。
    ・高品質な交換関係では信頼・尊敬・義務感が強まり、成果や満足度が高まる。
  • 試験対策のコツ
    ・「フィードラー=状況の好ましさ」「SL=成熟度」「パス・ゴール=期待理論との接続」「LMX=関係の質」とキーワードで整理。
    ・選択肢問題では「理論の本質」と「状況の条件」が正しく対応しているかを確認する。