過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第22問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(労働法改正の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(働き方改革関連法の理解)

問題文

「働き方改革」の一環として改正された労働基準法の第39条に定められた年次有給休暇に関する記述として、最も適切なものはどれか。


使用者は、年次有給休暇を10労働日以上付与される労働者に、付与した基準日から1年以内に5日について、時季指定して年次有給休暇を取得させなければならないが、既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、時季指定をする必要はない。
使用者は、雇入れの日から起算して6か月間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した週所定労働日数が5日である労働者に10労働日の年次有給休暇を付与しなければならないが、8割未満である者に対してはその出勤日数に比例した日数の年次有給休暇を付与しなければならない。
使用者は、要件を満たした労働者に年次有給休暇を付与しなければならないが、労働基準法第41条に定められた監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者は、この対象から除かれる。
使用者は、労働者本人が時季を指定して年次有給休暇の取得を請求した場合、事業の正常な運営を妨げる場合であっても、これを変更することができない。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ア


解説

ア:〇
 2019年の労働基準法改正により、使用者は年次有給休暇を10日以上付与される労働者に対し、基準日から1年以内に5日を時季指定して取得させる義務がある。ただし、労働者が既に5日以上を自ら請求・取得している場合には、使用者による時季指定は不要。

イ:×
 比例付与制度は週所定労働日数が少ないパートタイム労働者に適用されるが、8割未満出勤者に比例付与する規定は存在しない。

ウ:×
 管理監督者や機密事務取扱者も年次有給休暇の付与対象であり、労働時間規制の適用除外とは異なる。

エ:×
 使用者は事業の正常な運営を妨げる場合、「時季変更権」を行使できる。したがって変更できないという記述は誤り。


学習のポイント

  • 年次有給休暇の付与要件
    ・雇入れから6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者に付与。
    ・週所定労働日数に応じて比例付与制度あり。
  • 改正労基法(2019年施行)のポイント
    ・年休10日以上付与される労働者に対し、使用者は5日を時季指定して取得させる義務。
    ・既に5日以上取得済みの場合は対象外。
  • その他の重要点
    ・管理監督者も年休付与対象。
    ・使用者には「時季変更権」があり、事業運営に支障がある場合は取得時季を変更可能。
  • 試験対策のコツ
    ・「5日取得義務」「管理監督者も対象」「時季変更権あり」がキーワード。
    ・比例付与は「短時間労働者」に適用される点を押さえる。