過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第23問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★★☆☆(労働安全衛生法の理解)
  • 正答率: ★★★☆☆(正答率60%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(働き方改革関連の重要論点)

問題文

労働安全衛生法に定められた長時間労働に対する医師による面接指導(問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接により必要な指導を行うこと)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

なお、本問中、事業者は中小事業主とし、労働基準法第41条に規定された管理監督者等の「適用除外者」及び同法第41条の2に規定されたいわゆる高度プロフェッショナル制度の「対象労働者」については考慮に入れないものとする。


医師による面接指導に係る事業者の義務は、産業医を選定する義務のない、常時50人未満の労働者を使用する事業場においても適用される。
事業者は、医師による面接指導の結果に基づき、当該労働者の疲労の蓄積の状況等の厚生労働省令に定められた事項及び医師の意見を記載した当該面接指導の結果の記録を作成して、これを所定期間保存しなければならない。
事業者は、医師による面接指導を実施するため、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法により、労働者の労働時間の状況を把握しなければならない。
事業者は、その使用する労働者について、週40時間を超えて労働させた時間が1月当たり45時間を超え、かつ疲労の蓄積が認められる者であって、当該労働者が申し出た場合、医師による面接指導を行わなければならない。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:エ


解説

ア:〇
 労働安全衛生法に基づく医師による面接指導は、産業医選任義務のない小規模事業場にも適用される。

イ:〇
 面接指導の結果は記録し、厚労省令で定められた事項を含めて保存する義務がある。

ウ:〇
 労働時間の状況は客観的な方法(タイムカード、PC使用時間など)で把握することが事業者に義務付けられている。

エ:× (不適切)
 面接指導の対象となるのは「1か月当たりの時間外・休日労働が100時間を超えた場合」や「2~6か月平均で80時間を超えた場合」などであり、設問の「45時間超」という基準は誤り。45時間は時間外労働の限度基準であり、面接指導義務の基準ではない。


学習のポイント

  • 面接指導の対象基準
    ・時間外・休日労働が1か月で100時間超。
    ・または2~6か月平均で80時間超。
    ・労働者本人の申し出により実施義務が発生。
  • 事業者の義務
    ・小規模事業場にも適用。
    ・結果の記録・保存義務。
    ・労働時間の客観的把握義務。
  • 試験対策のコツ
    ・「45時間」は限度基準、「100時間・80時間」が面接指導基準。
    ・「小規模事業場も対象」「客観的把握義務あり」「結果保存義務あり」を押さえる。