過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第24問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(労働法の基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(ハラスメント防止・雇用管理の理解)

問題文

労働者の妊娠、出産、育児休業に関する記述として、最も適切なものはどれか。


あらかじめ就業規則に女性労働者が妊娠したことを退職理由として定め、かつ採用の際にその旨の労働契約を締結している場合は、当該事実の到来をもって自然退職となる。
事業主が雇用する女性労働者に講じなければならない「職場における妊娠、出産等に関する言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置」について、派遣先事業主は、派遣労働者に対して、そのような雇用管理上及び指揮命令上の措置を講じなければならない。
妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメントの防止措置のうち、育児休業制度の利用を阻害するものについては、当該育児休業制度を利用しようとする、又は利用している女性労働者にのみ適用される。
妊娠中及び出産後1年を経過しない女性労働者に対してなされた解雇は、無効とされる。ただし、当該解雇が妊娠又は出産に起因する症状により労務の提供ができないこと若しくはできなかったこと又は労働能率が低下したことを理由とする解雇であることを事業主が証明したときは、この限りでない。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:イ


解説

ア:×
妊娠を退職理由とする就業規則や労働契約は、男女雇用機会均等法に違反し無効。

イ:〇
均等法に基づき、事業主は妊娠・出産等に関するハラスメント防止措置を講じる義務がある。派遣労働者については派遣先事業主も雇用管理上・指揮命令上の措置を講じなければならない。

ウ:×
ハラスメント防止措置は女性労働者に限定されず、男性を含む全ての労働者に適用される。

エ:×
妊娠中・出産後1年以内の解雇は原則無効であり、事業主が妊娠・出産に起因する労務提供不可や能率低下を理由に解雇できるとするのは誤り。


学習のポイント

  • 妊娠・出産・育児休業に関する法的保護
    ・妊娠・出産を理由とする不利益取扱いは禁止(均等法)。
    ・解雇制限:妊娠中および出産後1年以内の解雇は原則無効。
  • ハラスメント防止措置
    ・妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント防止は全労働者対象。
    ・派遣労働者については派遣先事業主も措置義務を負う。
  • 試験対策のコツ
    ・「妊娠=退職理由」は違法。
    ・「派遣先事業主も措置義務あり」が正解のポイント。
    ・「解雇制限は原則無効」「男女問わずハラスメント防止措置対象」を押さえる。