過去問解説(企業経営理論)_2019年(令和元年) 第26問

難易度・正答率・重要度

  • 難易度: ★★☆☆☆(マーケティング基礎)
  • 正答率: ★★★★☆(正答率70%前後)
  • 重要度: ★★★☆☆(顧客満足・関係構築の理解)

問題文

マーケティングにおける顧客との関係構築に関する記述として、最も適切なものはどれか。


顧客が企業に対して持つロイヤルティには、再購買率で測定される行動的ロイヤルティと態度に関わる心理的ロイヤルティがある。これらのうち前者が高ければ後者も高いが、前者が低くても後者は高いこともある。
顧客との関係構築を重要視するマーケティングの考え方は BtoC のサービス・マーケティングにルーツがあるが、近年は BtoB マーケティングにも応用されるようになってきた。
顧客を満足させるには、顧客の事前の期待値を上回るパフォーマンスを提供する必要があるが、次回購買時には前回のパフォーマンスのレベルが期待値になるため、さらに高いパフォーマンスを提供することが望ましい。
優良顧客を識別するための指標の1つである顧客生涯価値とは、顧客が今回または今期に購入した金額だけでなく、これまでに購入した全ての金額に等しい。

出典: 中小企業診断協会|2019年度 第1次試験問題|企業経営理論(PDF)


解答

正解:ウ


解説

ア:×
 行動的ロイヤルティと心理的ロイヤルティは必ずしも一致しない。行動的に低くても心理的に高い場合があるが、前者が高ければ必ず後者も高いとは限らない。

イ:×
 関係性マーケティングのルーツはBtoB取引にあり、BtoCサービスから派生したものではない。

ウ:〇
 顧客満足は「期待値と実際のパフォーマンスの比較」で決まる。期待を上回る体験は満足を生み、次回はその水準が新たな期待値となるため、継続的に高いパフォーマンスを提供することが望ましい。

エ:×
 顧客生涯価値(CLV)は「将来にわたって企業にもたらす利益の現在価値」であり、過去購入額の単純合計ではない。


学習のポイント

  • 顧客満足のメカニズム
    ・満足度=実際のパフォーマンス-期待値。
    ・期待を上回ると満足、下回ると不満。
    ・次回購買時には前回の体験が新たな期待値になる。
  • ロイヤルティの二面性
    ・行動的ロイヤルティ=再購買行動。
    ・心理的ロイヤルティ=態度・愛着。
    ・両者は必ずしも一致しない。
  • 顧客生涯価値(CLV)
    ・将来の取引から得られる利益の現在価値。
    ・優良顧客の識別やマーケティング投資判断に活用。
  • 試験対策のコツ
    ・「顧客満足=期待値を超える体験」がキーワード。
    ・CLVは未来志向の概念である点を押さえる。
    ・関係性マーケティングの起源はBtoB。